【DMFコンサルティング株式会社】「見える化」で仕事をやりがいと成長の場にしていく

企業へのコンサルティングを通じて、ビジネスパーソン一人一人がやりがいを感じることのできる職場づくりを進める、DMFコンサルティング株式会社代表取締役の伊藤篤志さん。職場における「見える化」が、仕事の質の向上、個人の成長に繋がるという思いのもと、伊藤さんは企業の組織風土改革を目指しています。

そんな伊藤さんに、「見える化」とはどういうことか?これからキャリアを築くにあたって大切なことは何かをお聞きしました。

伊藤篤志さん

DMFコンサルティング株式会社
代表取締役
伊藤篤志さん

キヤノンマーケティングジャパンで約20年、半導体製造装置のカスタマーセールスに携わる。キヤノン内部のコンサルティング業務を6年間経験した。
両親の介護のため、55歳で会社を早期退職。
故郷・大分県にてコンサルティング業を開業。個人事業としてスタート、2022年に法人化。

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【綿密な段取りが質の高い仕事を生む】

伊藤篤志さん

私は長い間営業職としてキャリアを歩んできました。キヤノンマーケティングジャパンで約20年、半導体製造装置のカスタマーセールスに携わっていたんです。ある時、親会社のキヤノンで社内コンサルタントの公募がありまして、そこに手を挙げて行ったのが、私のコンサルティングとしてのキャリアの始まりです。6年間、キヤノン内部のコンサルティング業務を経験しました。

その後、両親の介護のために故郷の大分県に戻ることになり、55歳で会社を早期退職しました。元々、いつかは独立したいと思っていたので、これを機に大分でコンサルティング業を開業しました。最初は個人事業として始め、2年前に法人化をしたところです。会社名のDMFとは、D:段取り、M:見える化、F:振返りを意味しています。

仕事は一人で考えてするものではない。チームで共有するもの

私が企業にコンサルティングをする時に最も重視していることは、「段取り」です。「段取り八分」という言葉がありますが、仕事の成功確率は、段取りの精度に比例します。いかに事前の計画ができているかが重要なんです。この段取りというのは、チーム内での計画の共有化のことをいいます。

残念ながら、長い間日本のホワイトカラーの仕事は、生産性が低いといわれています。その要因の一つとして、仕事の授受の仕方が適当でおろそかになっているということが挙げられます。仕事の授受をする際に、チーム内の上司と部下でプロジェクトゴール(弊社ではこれをアウトプットイメージと呼んでいます)を共有し、段取りを行うことが大事です。それにより手戻りを無くすことができ、仕事の生産性の向上に繋がると私は思っています。

日本の大半のホワイトカラーの現場では、上司が部下に仕事を振る時に、ただ「これやっといてね」と丸投げしがちなのが現状です。部下が「どうやればいいですか?」と聞いても、「自分で考えて、できるところまでやってから聞いてくれ」という感じで、事前の段取りの共有がないんですね。

そうすると何が起こるか。部下は分からないことがあっても、気軽に上司に聞けなくなるんですね。「こんなことも分からないのか」といわれるのではないかと思って。期限ぎりぎりになってやっと上司に相談し、まったく仕事が進んでいなくて怒られるということになります。このような組織風土を進捗管理型マネジメントといいます。

段取り型の組織づくりが必要とされている

伊藤篤志さん

そこで私は、進捗管理型から段取り型の組織へ変えていくことを提案しています。上司が部下に業務を割り振る時点でアウトプットイメージの共有から始めます。ゴールから逆算して課題を明確にしアクションプランを見える化し共有しておくようにするんです。そうすることで、段取りの段階でお互いの意識が共有され、仕事の質を高めることができます。

実のところ、段取りができる人というのは結構多く存在するんですね。でも、みんな段取りを頭の中だけでやっているんです。これを段取りの暗黙知といいます。メンバーそれぞれの暗黙知を共有することにより、チームの形式知にすることができます。それを周りにアウトプットするべきなのです。これも含めて私は「見える化」と呼びます。

プロジェクトを進めていく時に、メンバー全員が面着で集まる「段取りタイム」の場を毎週一度必ず設けます。課題やアクションプランの見える化です。この時、言葉で出し合うだけではなく、絵や図などの目に見える分かりやすい形で表すことが重要です。また、PCやプロジェクターを使うと、発表する人、聞く人に別れ、どうしても正論をいうだけの場になりがちです。折角の暗黙知の共有の場なので、私はメンバー全員がワイワイガヤガヤとアイデアや質問をいいやすくするように、模造紙と付箋を使うことをルールにしています。全員が本音の意見をいいやすくすることでチーム内の意識が共有され、効果的にプロジェクトを進めていくことができます。

【自分のことを振り返ることができる人は強い】

「見える化ダイエット」というのがありますね。これは自分の体重を壁に書いて見える化し、目標体重と向き合うもので、効果的なダイエット法として知られています。仕事も同じなんです。失敗した時など、見たくないこともあるとは思いますが、そこを毎週の段取りタイムできちんと見える化していく。そして自分の行動の振返りを行うことで、自身の考え方や行動における課題や問題点が浮き彫りになってきます。この振り返りも書き出すようにして、見える化して、チーム内で共有します。これが人と組織の価値観・行動基準の成長に繋がります。

自分の考えがいつも正しいとは限らない

キャリア成長においては、スキルアップと価値観・行動基準の成長の両方が必要です。スキルアップは、日々仕事をしていく中で経験を積んでいくことで得られます。一方で、価値観・行動基準の成長は、「自分の考えが間違っているかも?」と気づくことができなければできない成長です。皆さん、自分のことを振り返ることは苦手なんですね。振り返りはどんどんやってほしいです。宝の山ですから。振り返りを習慣化することができれば、自分の課題に気づくことができます。

DMFコンサルティング株式会社は、ビジネスパーソンに「見える化」のスキルを提供

だから私は、ビジネスパーソン一人一人に、自分の価値観・行動基準の課題を気づかせることが、自分の最大のミッションだと思っています。「見える化」については、何時間でもお話できるくらい思い入れがあります。

スキルだけでなく価値観・行動基準をみがく

キャリア形成について質問を受けた時に私がよくいっていることがあります。それは、常日頃自身の強みや市場価値を理解し、自分の課題に向き合うことの大切さです。転職活動をする際にも、これらを意識しておくことで、強いアドバンテージを身につけることができるはずです。企業に属していると、会社の強みが自身の強みだと錯覚してしまいがちなんですね。しかし、転職する際には、そういった肩書がゼロの状態で自分を売り込んでいかなければなりません。そうなった時、自分にはどういった能力があるのか?といった意識を持つことが大切です。

転職活動をするにあたって、スキル面の強みをアピールする人は多いです。しかし自分自身の価値観・行動基準の課題をいえる人は少ないのではないでしょうか。課題というとネガティブなイメージがありますが、強みを伸ばすことも立派な課題です。これからの時代はスキル面は場合により、コンピュータにその役割が置き換わる可能性があります。ビジネスパーソンに求められる正しい価値観・行動基準はますます重要になります。そういう意識で自分の行動を振り返る習慣がついた人はきっとどこの企業でも活躍できると信じています。

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