札幌市を中心に、全国各地でビジネスマナー研修や人財開発研修を行っているWin Coachの代表、須磨展子さんにお話を伺いました。
Win Coach
代表
須磨展子さん
北海道千歳市生まれ。北海道大学医療短期大学部卒業。
日本赤十字社血漿分画センターにて17年間勤務。
2002年に臨床検査薬メーカーへ入社。東京本社の人事部門で新入社員研修、中堅社員研修、管理職研修の企画・運営・講師に携わる。
2005年にWin Coach設立。企業研修や就職支援(キャリア・カウンセリング)、プライベート・コーチングを実施。
「臨床検査技師から人事、そして起業へ」Win Coach誕生秘話
私は北海道生まれ。北海道育ちの生粋の道産子で、北海道大学医療技術短期大学部卒業後は、臨床検査技師として日本赤十字社血漿分画センターに、勤務しておりました。
その後、ご縁があって、東京の会社の人事部で研修を担当する機会に恵まれたことから17年間勤めていた日本赤十字社血漿分画センターを辞め、そこに転職いたしました。
私の当初の予定では、5年以内に北海道に戻り、同じような分野・ポジションで再就職するつもりだったのですが、北海道では東京とは状況が異なるため思ったような就職先はなかなか見つかりませんでした。
そこで、自分で起業することにしました。これが、Win Coachのはじまりです。
Win Coachが導く!経営課題解決と人財育成の最前線
Win Coachでは、主に以下の3つの事業を行っています。
- ビジネスマナー研修
新卒新入社員や若年層社員向けの研修です。
「社会人としての心構え」「仕事への取り組み方」といった基本的な内容だけではなく、「電話応対のマナー」や「指示の受け方・報連相のやり方」など、受講者のレベル・ポジションに応じた豊富なカリキュラムで、社会人として必要最低限必要なビジネスマナーを身に着ける研修を提供しています。
- 組織開発
組織開発の目的は、組織のパフォーマンスの最大化です。
まず、経営幹部を対象にヒアリングを行い、課題やニーズを明確にし、言語化します。
その後、これらの課題に対する解決策を策定し、実行に移します。
場合によっては、経営理念や行動指針の見直し・再構築、エンゲージメント調査や360度調査を実施することもあります。
- 人財育成
人財開発研修を通じて、社員一人ひとりのスキルを向上させるとともに、個々の課題解決をサポートしています。
中堅社員研修や管理職研修など階層別研修と、営業スキルやプレゼンテーションなどの個別のスキルアップの研修、ハラスメント防止やメンタルヘルスケアの研修を実施しています。
Win Coachでは「対等な関係」を重視
現在の教育現場では、「講師」と「受講者」の間にパワーバランスが存在していることが少なくありません。
しかしWin Coachでは、受講者の皆さまと「対等な関係を築くこと」を大切にしています。
例えば職場でも、上司と部下の関係では、上司が「上」で部下が「下」というイメージを持ちがちですが、それは役割におけるものであり、人としては対等で優劣や上下関係は本来ありません。
厚生労働省が示したパワハラが起こりやすい職場の特徴のひとつに「従業員間で冗談やおどかし、からかいが日常的に行われている」というものがあります(※1)。
これは、「自分たちは対等な人間である」という認識が不足していることが原因のひとつと言えるでしょう。
(※1)
職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要 (令和5年度厚生労働省委託事業)
「指示命令型マネジメント」よりも「協働型マネジメント」を重視
皆さんは「指示命令型マネジメント」と「協働型マネジメント」という言葉をご存知でしょうか?
前者の「指示命令型マネジメント」では、上司が一方的に指示を出し、部下はその指示に従って作業を行います。
このような状況では、生産性があまり上がらないことは容易に想像できるかと思います。
一方、「協働型マネジメント」は、チーム全員の意見やアイデアを取り入れて、より良い結果を導き出す方法であり、「指示命令型」に比べると、はるかに高い生産性が見込めます。
しかし、このマネジメントを実現するためには、「自分たちは対等な存在である」という意識が欠かせません。
つまり、互いを対等な人間として認め、尊重し合うことは、パワハラ防止の観点だけでなく、生産性の向上にもつながるのです。
Win Coachではこの点を理解していただきたいという思いから、講座の中で「対等な関係」であることを繰り返し伝え、上司が部下とどのように関わるべきなのかを、講師の姿を通じて示しているのです。
現在、これらの事業は代表である私一人で行っているのですが、リソースが限られていることから、一部の企業様にしか支援を提供できていないというのが実情です。
そのため、今後は、Win Coachの理念に共感していただける方にご協力いただきながら、事業をさらに拡大していきたいと考えています。
「”成功する組織”のカギはコミュニケーション!」:Win Coachの人財育成の核心
Win Coachが人財育成の場において最も重視しているポイントは「コミュニケーション」です。
社員が現場業務に最適なスキルをどれだけ持っていたとしても、コミュニケーションの基礎ができていなければ、適切な評価を受けたり、望み通りのキャリアを実現することは難しいでしょう。
上司の立場でも、部下の状況や本心を把握できなければ、マネジメントは難しくなります。
というのも、社内でのコミュニケーションが円滑であるか、言い換えれば、情報の共有が適切に行われているかどうかによって、業績は大きく変わってくるからです。
例えば、仕事の期限を守らなかった部下に対して上司が「なぜ期限内に終わらせなかったのか?」と尋ねたとしましょう。
このとき、部下が「他の仕事が忙しかった」と答えた場合に、本当にそうなのか?を推察し、部下の本音を引き出せるようなコミュニケーション力を身につけることで、業務効率を上げることができるのです。
このようなトラブル時に本音を引き出すためには、日頃から部下とのより良い関係を構築することが必要です。
そのため、Win Coachでは「コミュニケーション」に関するスキルの育成を中心に、人財育成を行っています。
企業成長のカギはここにあり!「受容」と「承認」の重要性
現代は「受容」と「承認」の時代として知られています。
「受容」とは、自分と合わない意見・自分とは違った価値観を否定せず、受け入れることであり、「承認」とは、互いに「認め合う」ことです。
時代に適したこれらのスキルを養えるかどうかが、その後の展望を大きく変えるでしょう。
それぞれ、詳しく解説します。
異なる価値観を否定しない「受容」
「受容」についてですが、今後、社員に占める外国人労働者や性的マイノリティの割合が増えていくことが予想されます。
このような人々にどれだけ配慮できるか、また、多様性をどれだけ「受容」できるかが、企業の明暗を分ける、重要な要素となるでしょう。
個々の良い点を認め合う「承認」
現在、地方では慢性的な若手不足に悩む企業が多く存在します。
そのような状況において、「やめられたら困る」という理由で部下を過度に褒めたり、お世辞を言ったりする経営者や管理職も少なくありません。
しかし、「承認」とは、一人ひとりを観察し、そのひとならではの良い点を見つけ出し認めることに他なりません。
「あなた」ではなく「私」を主語にした承認が求められます。とはいえ、過剰に部下に媚びたり、機嫌を取ることは避けるべきです。
このような行動は双方にとって不幸な結果を招きます。
譲れないラインを定めて、毅然とした対応をすることが重要な場面もあります。例えば、企業の理念に関する事柄などがその一例です。
「他人事」から「自分事」へ!役割明確化で社員の責任感と成長を促進
社員が、企業理念やミッションといったひとつの目標に向かって同じベクトルで進んでいけるようにするためには、社内での役割を明確にすることが不可欠です。
しかし、Win Coachのプログラムを利用している多くの中小企業では、当初この点が明確ではない状況が見受けられました。
そのため責任の所在がはっきりしておらず、社員は社内のトラブルに対して「他人事」や「対岸の火事」のような意識を持ってしまっていたのです。
それぞれの役割を明確にし、理念やミッションを達成するために「その人がやるべきこと」を明確にすることで、遣り甲斐から帰属意識が生まれ、組織が活性化します。
自信を持てるようになり、キャリアについて積極的に考えるようになる社員も現れ、エンゲージメントが高まります。
ただし、役割を過度に明確にしすぎると、弊害が生じることもあります。
例えば、自分の役割にプライドを持っている上司が部下の意見を「余計なことをするな」と押さえつけてしまうような事態です。
このような問題を避けるためには、役割の明確化と協力体制を考慮しながら進めていく必要があります。
これも良好な人間関係や信頼関係の下で成り立つものと考えています。
厳しくも、楽しく。Win Coachは人と組織と向き合います
受講者の方からは、Win Coachの研修は厳しいなかにも笑い声の絶えない楽しい研修というお声をたくさんいただいています。
企業の役員の方には、ときに厳しいフィードバックにショックを受けられる方もいらっしゃいますが、結果的には社内の空気が明るくなり、組織開発や人財開発研修などの効果を実感していただいております。
Win Coachの研修の強みは、受講者の方がそれまで気づけなかった自身の価値観や能力に気づくことができる点にあります。
過去には、これにより、新しい環境に思い切って飛び込む決断をされた方が数多くいらっしゃいます。
また、プライベートコーチングを通じて転職を決意された方や、家庭と仕事の両立に悩んでいた女性が昇進の打診を受け入れたケースなどがございます。
Win Coachでは、「信念」「情熱」「愛情」の3つを柱として、受講者の方々と接しています。
様々な課題に直面しほんとうに困ってる方々が、明るく前向きに変化して課題を解決していく姿を拝見することが、何よりの喜びです。