【敬愛大学教授】チャレンジし続ける姿勢とホスピタリティで社会課題の解決を

佐々木 英憲先生は、北海道拓殖銀行と千葉銀行の2行で銀行業務や証券業務をされたご経験を活かして、敬愛大学で金融関係全般に関する講義を担当しておられます。

想定外のキャリアチェンジをされたという佐々木先生に、ご自身のキャリアの中で印象的だったお仕事やこれからの銀行員のあり方、日本社会における今後の展望についてお話を伺いました。

敬愛大学
経済学部教授
佐々木英憲先生

1982年に北海道拓殖銀行に入行、ベルギー現地法人、ロンドン証券現地法人などへの出向を経て、数々の証券業務に携わる。
1998年に千葉銀行に入行後は、営業店勤務のほか、ちばぎんリース常勤監査役、ちばぎんキャピタル代表取締役社長を務める。
2019年からは敬愛大学経済学部教授として、「銀行論」「証券経済論」「金融経済の基礎知識」を担当している。

銀行から研究者へ、想定外のキャリアチェンジ

銀行関連会社に勤めていた頃にお声掛けを頂いて、実務家教員として敬愛大学に入職しました。教員免許もなく大学院も出ていない私にとっては、想定外のキャリアチェンジとなりました。

現在ではゼミ以外に「銀行論」「証券経済論」「金融経済の基礎知識」の3つの講義を担当しています。これらの分野の研究を始めたことは、銀行員として長年働いた私にとって必然でした。銀行員時代に取得した資格や知識を活かして、大学教育の現場で理論をよりわかりやすく具現化できると考えたからです。

銀行業務から証券業務へ。新しいことへのチャレンジの連続がキャリア形成に

銀行員時代には北海道拓殖銀行と千葉銀行という2つの銀行で、常に最先端の業務にチャレンジする機会を頂きました。通常の銀行員では経験できないことを経験させてもらったことには心から感謝しています。この経験値の高さが、今の私の支えになっています。

北海道拓殖銀行時代には海外証券トレーニーに選抜され、それがきっかけとなって銀行員生活の半分を証券業務に従事しました。海外勤務を含めて数多くのマーケット業務に携わった経験は非常に印象的でした。

また、千葉銀行時代では新しい業務の立ち上げの連続でした。特に地方銀行として初めてストラクチャードファイナンス業務を立ち上げ、その後の投資銀行業務やベンチャー投資なども順調に拡充したことは私にとっての誇りです。ノウハウが組織に根付き、取引先のニーズや銀行の収益に大きく貢献していることは、OBとして嬉しく思います。

「ジョブ型雇用」より「駅伝型の仕事」が理想

佐々木英憲先生
参照:敬愛大学

日本企業の強みはチームワークであり、個人の力をつなぐ「駅伝型」の仕事が理想であると考えています。そのためには個人の能力の向上もさることながら、愛社精神や人間関係も重要な要素の一つでしょう。したがって、最近称賛されがちな「ジョブ型雇用」の盲信には注意が必要だと考えています。

重要なのは顧客目線と現場感覚であり、本部と営業店の意思疎通が上手くいく風通しの良い環境が理想だと思います。組織が大きくなると社内経営層に向けた活動に比重を置く人が増える傾向にありますが、本来大切なのは顧客に向けた営業であり、顧客目線と現場感覚を重視した顧客満足度の追求を忘れてはならないと思います。

未来の銀行員に必要な要素は成長し続ける姿勢と人間性

佐々木英憲先生
参照:敬愛大学

銀行は衰退業種とも言われ、地域金融機関の淘汰や再編は今後も続くと予想されています。しかし、決済や資産の運用・管理を含む金融サービス業は今後も伸びる分野でしょう。これらのサービスの中心を占めるのは、昔からの信用が根強い銀行であると思います。

また、銀行が扱う商品はお金であるため、差別化することは非常に困難です。他社との差別化を図れるのは自社のサービスなので、サービスを支える銀行のカルチャーと担当者の人間性を重視すべきです。まずは専門的な知識や経験を積んで、顧客の信頼に応える人間性を磨き、成長し続ける姿を見せることが大切だと考えます。

銀行は単なる金貸しではありません。特定の分野にこだわらず、自分が望んで研鑽すれば、道は限りなく広がります。銀行にとって必要な「人財」になるためのスキルの修得は、どの分野に進むかにかかわらず、自分のチャレンジ次第だと思います。

日本復活の鍵は「ホスピタリティ」で社会課題の解決を図ること

佐々木英憲先生
参照:敬愛人

現代の日本社会は、少子高齢化と豊かさに慣れすぎた「ゆでガエル」状態です。成長性がなく、税や社会保障も少子化に対応する制度設計がなされていません。また、トリクルダウン的発想からの脱却や地方創生、非正規雇用の増加などの社会課題に対する政策が後手で場当たり的なものに終始しています。

個人的には悲観論ばかりではなく、いずれ日本ならではの良さが見直される時代が来ると信じています。例えば「ホスピタリティ」は日本の特筆すべき長所です。保育・教育・医療・介護などAIでは代替しづらい仕事であり、地方の人口定住に必要不可欠な職種と言えます。 少子化対策にはお金をばらまくのではなく、そういった仕事の所得と労働条件の改善に注力することが切に望まれます。日本復活の時代が来るのは「ホスピタリティ」で少子高齢化を克服した時ではないでしょうか。

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