【創価大学教授】学生が「金融」に触れる機会をつくる

創価大学経営学部で教授として活躍されている、 中村みゆき先生にお話を伺いました。

中村みゆき先生は、現在「シンガポール金融制度」を専門に研究されています。

なぜ「シンガポール金融制度」を研究しようと思われたのか、若手がファイナンス業界で活躍するために必要なことは何か、を伺ったほか、研究内容やファイナンス業界を目指す若手へ向けて、中村みゆき先生の独自の視点からお話しいただきました。

創価大学
経営学部教授
中村みゆき先生

九州大学大学院経済学研究科博士後期課程単位満期修了。
九州大学経済学部助手、西日本工業大学専任講師を経て、創価大学経営学部で教授を務めている。
専門分野は証券市場論、シンガポール金融制度の研究。
著書『政府系ファンドの投資戦略と投資家動向-シンガポールにおける事例研究-』(税務経理協会)。

研究のおもしろさに魅了された

学部生時代は、ジャーナリストを目指していました。採用時に経済の知識があると役立つと思い大学院への進学を決めたのですが、研究課題を見つけて深掘りするという研究自体におもしろみを感じるようになり、就職せずに大学院に残ることにしました。

アジアの経済発展の行方を追いたい

政府系ファンドの投資戦略と投資家動向-シンガポールにおける事例研究-
参照:政府系ファンドの投資戦略と投資家動向

私は、「シンガポールにおける金融制度の発展」を専門に研究を行っています。学生時代に初めてシンガポールや香港へ行き、賑やかな喧騒や発展しようとしている息吹に圧倒されました。大学院に進学して研究テーマを決める際に、アジアの経済発展の行方を追いたいと思い、金融に関する研究を行うことにしました。

シンガポールは東南アジア諸国の中で唯一、中所得の罠に陥ることなく高所得国家へと成長してきました。この要因を分析するために、国家持株会社(Temasek社、国家ファンド)がどのような国家戦略を持って経済発展の役割を果たしてきたのかを研究しています。

長年に渡る研究成果をまとめて、2014年に『政府系ファンドの投資戦略と投資家動向-シンガポールにおける事例研究-』(税務経理協会)という書籍を出版することができたことは、私のキャリアの中で特に充足感を感じた経験です。

大事にしているのは、誠実さと真剣さと俯瞰性

中村みゆき先生
参照:創価大学経営学部

大学教員には、研究者と教育者という2つの側面があります。真理を追求する研究においても、学生に専門性や学びとは何かを伝える時も、誠実さと真剣さ、そして時には俯瞰的な視点を大切にして仕事に取り組むようにしています。

ファイナンス業界で活躍するために大切なこと

中村みゆき先生
参照:創価大学経営学部

ファイナンス業界で若手が成功するためには、専門知識やスキルの習得が不可欠です。金融業界は多様ですが、例えば、大手証券会社では、営業から投資銀行業務、アナリスト、産業ストラテジスト、データ分析業務など幅広い業務があり、場合により特殊な専門知識が要求されます。しかし、1度身につけた知識は、さまざまな金融機関で活用できるはずです。また、金融の本質は社会のインフラの1つとして、産業を生み出す重要な役割を果たしているということを理解してほしいと思います。

金融機関と一言で言っても、銀行、証券会社(欧米では投資銀行)、保険会社(損保、生保)など多様な機関が存在します。さらに、銀行は日本銀行をはじめ、政府系金融機関、都市銀行、信託銀行、地銀・信金、協同組合系など、細かく分類できます。近年、AI技術や電子取引の拡大などFinTech(フィンテック)の普及で金融の態様が激変し、従来の金融は戦略を変更せざるを得なくなりました。また、キャッシュレス決済によるカード系企業や資産運用機関も、重要性を増しています。金融が社会問題とどのように関わっているのか、自身の将来のキャリアと照らし合わせて分析してみてください。

教え子たちとのつながりをいつまでも大切にしたい

中村みゆき先生
参照:大学ポートレート

これまでに携わってきた仕事の中で最も印象に残っているのは、10年前に産学連携型PBL授業「ビジネス&ロー・ワークショップ」を立ち上げたことです。学生たちが金融と触れ合う機会を作りたいとの思いで、立ち上げました。最大手証券会社や銀行に支援をいただき、実務家講師のアドバイスのもとで学生が社会的課題の解決を図れるプログラムになっています。金融界で活躍する人材も、数多く輩出しています。

ゼミナールを担当して20年以上になりますが、これまでに、金融機関を中心にゼネコン、コンサルなどの企業で活躍する多くの卒業生を送り出してきました。卒業生たちとは食事をしたり、時には相談に乗ったり、今でも密なつながりを持っています。また、彼らは後輩の進路相談にも積極的に関わってくれて、後輩にとって実社会での経験に基づく話が聞ける非常に重要な存在になっています。今後も教え子の卒業生たちと、さまざまなことを共有できれば幸せだと思います。

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