【シニアジョブ社長】高齢者が誰でも就業できる未来を目指して

株式会社シニアジョブで代表取締役を務める中島康恵さんにお話を伺いました。

中島さんは現在、50歳以上のシニアに特化した就職支援を行っています。

学生時代までプロサッカー選手を目指していた中島さんが、現在の事業に取り組んでいるのは、なぜでしょうか。ご自身のこれまでのキャリアや社会課題を解決し未来を変えるためのアプローチについて、お話しいただきました。

株式会社シニアジョブ
代表取締役
中島康恵さん

1992年、茨城県生まれ。幼少期~学生時代はプロサッカー選手を目指し、J1リーグのジュニアユースに所属。大学4年生で起業を決意し、2013年にITサービスを立ち上げ、翌2014年に登記。その後、2016年にシニアの就業支援へと業態転換し、人材紹介と人材派遣を手掛ける。2022年にはシニア専門の求人メディア事業もスタートし、年々実績を拡大している。

プロサッカー選手の夢を諦め、起業家の道へ

中島康恵さん

子供の頃から学生時代まで、私の夢はプロサッカー選手でした。夢のために努力を惜しまず、J1リーグのジュニアユースに所属した小学〜中学時代は、実家から何kmもの距離を毎日通いました。高校でもインターハイ出場を果たしましたが、大学では他の選手とのレベル差に挫折を味わい、サッカーの夢を諦めました。

新たに抱いた夢は、社会課題にアプローチし「未来を変えるビジネス」でした。就職活動では理想のビジネスに出会えず、私は自力で出資者を探し、創業メンバーを集めて自ら起業しました。大学4年に事業を立ち上げ、卒業後の翌年に登記しています。

2016年にそれまでのIT業から、50歳以上のシニアに特化した就職支援に業態転換し、社名も株式会社シニアジョブとなりました。その後も、時代や会社の成長に併せてさまざまなチャレンジを続けています。2022年には、それまでのシニア専門人材紹介と人材派遣に加え、シニア専門求人メディア「シニアジョブ」を立ち上げ、さらに幅広い職種とシニアを支援できるようになりました。

大切なのは、物事の本質と実際のニーズを知ること

中島康恵さん

シニアの就職支援を始める以前のIT業も、会計業界の課題をIT技術で解決するプロダクトを私なりに考えたものでした。しかし、その時点では課題解決の大きなニーズは現場になかったのです。そのため、シニアの就職支援の提供を始める際には、いきなり技術による解決を目指さず、実際にシニアがいるイメージの強い巣鴨や三軒茶屋に足を運び、直接シニアの話を聞いてニーズを確かめました。

社会課題解決と聞くと、課題に寄り添うことを重視する人が多くいます。しかし、課題を取り除こうとばかりしても、かつての私のように解決には近づきません。シニアの就職でも、実際にシニアが就職することが本当の解決であり、シニアの悩みに寄り添うだけでは解決しないのです。シニアのニーズ、求人企業のニーズの両方を把握し、つなぐことが解決の本質です。

シニアの就業支援に一生を捧げようと決意したきっかけ

中島康恵さん

私たちがシニアの就職支援に業態転換した当初はまだ、シニアの支援が私のライフワークにする決意があったわけではありませんでした。そのきっかけとなったのは、60代後半の施工管理技士の面接に立ち会った時のことです。無事内定を得たその方は、これまでずっと街の道路や橋を作って貢献してきたのに、60歳を超えただけで仕事がなくなってしまったこと、仕事がやっと決まって孫にお年玉が渡せる、残っている住宅ローンの心配も和らぐという喜びを涙ながらに語ってくれました。

私もこの話にもらい泣きしました。そして、シニアの就職難の深刻さや、仕事が決まった時のシニアの喜びを目の当たりにしたことで、シニアの支援に一生を賭けることを決意したのです。

若いうちはチャンスがリスクに勝る

起業は、とても大きな勇気が必要な決断でした。怖さもありました。しかし、単に勇気を振り絞って乗り越えたわけでも、怖さに蓋をしたわけでもありません。冷静にリスクとチャンスを比較した上で「チャンスがリスクに勝る」と判断しました。

借金もしましたし、起業当初は節約でギリギリの生活もしました。同世代と同じように遊ぶこともなく、昼夜のないような仕事をしたこともありました。たくさん失ったものもあったと思いますが、それでも私はチャレンジしたことで得たものは、何ものにも替えがたい大きなものだったと思いますし、チャレンジして本当に良かったと思います。

若いタイミングならば、何度か失敗したとしても巻き返せるため「チャンスがリスクに勝る」のです。迷いがある人も夢を描くことができる時点で、成功の道筋が見えているので、冷静にリスクとチャンスを分析してチャレンジへと踏み出すことをおすすめします。

社会課題の解決には技術革新や仕組みづくりが欠かせない

中島康恵さん

私は起業する前から「未来を変えるビジネス」をしたいと考えていました。社会課題に対して、最新技術を用いた解決策を提供することで、現在困っている多くの人の未来が変わる、あるいはやはり多くの人や業界全体・国全体が便利になる・まったく違った価値が生まれるなどする瞬間を自分で創りたいと思いました。この考え方はシニアの就職支援を行う現在でも変わりません。

今も、他に儲かるビジネスがあったとしても、未来を変えることにつながらないならば取り組みたくありませんし、シニアの就職支援を進める上でもITを重要視しています。シニアジョブでは「テクノロジーファースト」を掲げ、エンジニアの活躍を人材コーディネーターの活躍と同じくらい推進しています。

私自身や社員の1人が2倍頑張っても、それは2倍の成果にしかなりません。しかし、技術や仕組みによって多くの人が便利になるならば、何十倍・何百倍の成果も不可能ではないのです。

社会全体がシニアの就業を推進する未来を創りたい

中島康恵さん

私たちは「働くことを希望するシニアが誰でも自由に就職できる未来」を目指しています。もちろん、私たち1社の力だけで日本のシニア全員が自由に就職できるようになるとは思いませんし、日本以外の世界中でも少子高齢化が進んでいます。

しかし、私たちが、世界トップの高齢化大国である日本で、シニアの活躍を支援するビジネスを大きく拡大させたならば、それは国内はもちろん、世界に誇れるシニア就職支援のロールモデルとなると考えています。

シニアと高齢化の課題は様々で、その中には就職以外の課題もあります。私はそんな未来の実現のため、常に新しいチャレンジを続けていきます。

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