【株式会社クラッチコミュニケーション社長】労働人口の減少と看護領域におけるソリューション

看護師のためのスキマバイトサービス「スキマメディカル」を運営している、株式会社クラッチコミュニケーションCEO須藤様にオンラインインタビューを行いました。

2025年問題をはじめ医療・介護領域の課題を解決するために、日々新しいサービスを検討している須藤様。今回は、看護師のキャリア形成や労働人口減少の打開策についてお伺いしました。

株式会社クラッチコミュニケーション
代表取締役CEO
須藤 仁司さん

福島県出身。日本大学経済学部卒業。元レバレジーズメディカルケア株式会社法人営業部部長。「ヘルスケア職の就業機会を創出していくこと」をミッションに掲げ、医療介護特化型HRサービスを展開する。

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2025年問題における打開策は定着率とスキマバイト

須藤 仁司さん

2025年問題」が医療・介護領域に与える影響は、大きく2つあると考えています。

  1. 深刻な看護師不足
  2. 看護師の定着率が低い

1つ目に関して、現在の日本では看護師が27万人不足していると言われています。そのため、看護師資格を所持していながら現在看護師として勤務していない「潜在看護師」を活用して、彼らの働き口を見つけることが重要です。

弊社ではこの問題に対して、彼らが都合の良い時間に単発で働くことができるスキマバイトのサービスを展開し、潜在看護師が働ける仕組み作りをしています。

2つ目の看護師の定着率については、紹介会社を介して採用した人たちが短期間で辞めてしまう傾向があるため、定着支援を行う必要があります。

ただし、自社で定着支援を行えている医療機関は多くありません。

そこで、私たちが間に入って第三者面談を行ったり、辞めそうな方をピックアップするなど、人事にデータを掛け合わせることを行っています。

看護のスキマバイトによって7万人の雇用を生み出す

私たちの目標は、潜在看護師の稼働率を今よりも10%増加させることです。

それが医療業界における人手不足の解消や、労働基準に反する働き方の削減にもつながり、結果的に採用した人たちの定着率向上にもつながると考えています。

看護師が離職する理由には、職場環境と業界の雰囲気が影響している

看護師の転職にはいくつかパターンがあります。多いのは、急性疾患や重症患者の治療を24時間体制で行なう急性期病院を2〜3年経験して、他の病院に転職するパターンです。

また、人材不足で看護師を酷使する病院や施設があることも事実なので、それが原因で辞めてしまう人たちも多くなっています。

有資格者である看護師は転職に有利なため、彼らの中には常に「辞める」という選択肢があります。

結果的に慢性的な人材不足を生み、組織が回らない悪循環が続いている状況です。

離職率を下げるために病院と二人三脚で支援している

弊社では、事業者と看護師の間でマッチングの齟齬がないように、離職率を下げるための取り組みをしています。

たとえば、看護師の評価設計や人事制度の見直しを通して、給与が上がる仕組み作りに介入しています。

【スキマメディカル】は看護の有資格者に特化したプラットフォーム

須藤 仁司さん

弊社が提供している「スキマメディカル」というサービスは、看護の有資格者に特化したプラットフォームです。

日勤と夜勤どちらの求人もありますが、夜勤では時給が2000円〜3000円ほどになるので、正社員として病院に勤めているときよりも、給料が上がったという方もいます。

有資格者であれば多様な方が働ける

「スキマメディカル」の求職者登録の際に求められる情報は、経験年数や資格、年齢などです。その他簡単なスキルチェックもあります。登録時に履歴書や職務経歴書をアップロードすれば、使い回しも可能です。

事業者側には、潜在看護師には基本的にブランクがあることを理解した上で、サービスを利用してもらっています。精神科の訪問看護ステーションの求人や、男性看護師からの応募もあります。

経験が少ない方からベテラン看護師まで豊富な求人を想定

介護寄りの仕事が多い療養病院や施設、施術が少ない美容系や皮膚科などは、看護未経験者や看護スキルが低い方でも働けます。

ただし、急性期病院のような高い医療技術が求められるところは、採用ハードルが上がります。

全国の有効求人倍率は圧倒的に東京が高い

求人数は、東京が圧倒的に多く、近隣の神奈川や埼玉、千葉も比較的多くなっています。

私たちも最初は東京を含む首都圏から事業展開を始めていき、その後は大阪や名古屋、福岡、札幌などの五大都市を攻めたいと考えています。

一方で、看護師の人材不足で困っている医療機関は首都圏よりも地方に多いので、将来的には全国に裾野を広げて事業展開をしていきたいです。

病院側は業務マニュアルがあると求人が出しやすい

病院側の準備としては、まず求人票の作成が必要です。「ブランクOK」といった記載があるだけでも、潜在看護師の人たちが応募する際の安心材料になると思います。また、実際に採用された看護師がすぐ仕事に入れるように、業務マニュアルを準備しておくこともお勧めです。

中小企業の転職サービスは専門性が高い担当者が在籍

須藤 仁司さん

大手企業のエージェントは、新入社員が求職者の担当になることが多くあります。新卒1年目の担当者が、看護師経験が10年以上ある方を対応することも稀ではありません。

一方で中小企業には、社会人経験が長く、現場をよく知っている担当者が多く在籍している印象があります。転職のときは、大手エージェントが目につきやすいですが、親身になってくれるエージェントの利用がご自身のキャリアのためになります。

求職者にリスクも説明してくれる場合は、良い転職エージェントといえる

求職者の希望やキャリアを考えた提案をしてくれるだけでなく、リスクも説明してくれる担当者は良いですね。たとえば、求職者以上に視野を広げた上で、最終的に求人を絞って提案できる担当者です。

逆に、応募者の経験や人格を否定してきたり、会話にならないような担当者に相談する必要はありません。相性が少しでも合わないなと感じたら、その担当者がいるエージェントは使わなくていいと思います。たとえば、働く上で大切にしたいことの市場感や給与相場などの、最低限の説明ができない担当者はお勧めしません。

業界の問題にアプローチしたサービスで医療・介護領域における経済圏を作る

須藤 仁司さん

弊社では今後、医療・介護領域に特化した新規事業、その中でもHR関連のサービスを展開していく予定です。たとえば、人材紹介会社を利用しないと採用活動が円滑に回らない事業者が多い一方で、紹介会社に支払う手数料は高額で、一括払いが難しいという問題があります。

そこで、人材紹介手数料を4分割払いにするサービスを考えています。弊社が先に手数料を肩代わりして人材紹介会社に支払い、その後事業者が分割で返済する仕組みです。

このような、業界特有の問題を解決するサービスの提供を検討しています。事業者や求職者が何に困っているかを常に考え、そのニーズに応える形で、新しいサービスを開発していきます。医療・介護分野でのバーティカルな専門性を追求し、他にはない価値を提供することで、この領域における経済圏を作っていきたいと考えています。

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