日本の労働市場は今、かつてないほど大きな変革を迎えています。
人口減少、少子高齢化、デジタル化の進展など、さまざまな要因が絡み合い、企業の在り方や人材の価値が大きく見直されています。
今回は、こうした変化に対応するため、ハイエンド人材の活用を推進するアクシスコンサルティングの伊藤社長にインタビューを行いました。
伊藤社長は、優秀な人材の流動化とスキルシェアリングの重要性や、日本が未来に向けてどのように人材を最大限活用できるかについて具体的な提案を語ってくださいました。
アクシスコンサルティング株式会社
代表取締役社長
伊藤文隆さん
1972年生まれ。パール楽器製造で事業責任者を経験後、HRソリューションズで人材紹介事業の立ち上げに参画。2008年アクシスコンサルティング入社後、人材紹介やフリーコンサル事業の立ち上げ、戦略立案を担当し、取締役、常務取締役に就任。2023年シェアリングエコノミー協会幹事、2024年9月代表取締役社長COO就任。
日本の労働市場の変革とハイエンド人材の活用
日本の労働市場は現在、大きな変革期を迎えています。人口減少や少子高齢化、デジタル化の進展といった要因が重なり、企業のあり方や人材の価値観が大きく見直されています。
今回、ハイエンド人材の活用を推進するアクシスコンサルティングの伊藤社長にインタビューを行い、優秀な人材の流動化、スキルシェアリングの重要性、そして日本が未来に向けてどのように人材を最大限に活用できるかについてお話を伺いました。
労働力人口の減少と高齢化への対応
日本では労働力人口が年々減少しており、今後10年で60代が労働市場の最大のボリュームゾーンとなる見込みです。一方で、若い世代の人口はその半分にも満たないのが現状です。このような変化に労働市場がどのように適応していくかが大きな課題となっています。
労働力人口が減少すれば、優秀な人材の数も減少します。このような状況の中で、産業をどのように維持し、成長させるかが問われています。
伊藤社長が提案する3つの解決策
1. 人材の流動化
日本にはまだ終身雇用の文化が残っていますが、少しずつ変わりつつあります。アメリカでは平均して3~4年ごとに転職するのが一般的で、働く社数も10社程度を経験するのが普通です。ビジネストレンドが5年ごとに変化する現代では、人材の流動性がなければ市場価値が低下し、キャリアの停滞を招きます。
たとえば、自動車産業ではエンジンから電動モーターへのシフトが進んでいます。この変化に対応するため、エンジン製造の経験を持つ人材が新たな技術分野で活躍できるようにする環境が必要です。
企業が優秀な人材を適切に誘導し、流動性を高めることで、新たなビジネスチャンスをつかむことが可能になります。
2. スキルシェアリング
企業間で人材をシェアすることで、各社が抱える人材不足の課題を効率的に解決できます。
たとえば、アクシスコンサルティングが提供する「コンパスシェア」では、大手企業で戦略提案を行うコンサルタントが、副業やスポットの稼働として地方の中小企業の経営をサポートする仕組みを提供しています。これにより、地域を超えて知識や経験が共有されるのです。
3. オペレーティブな業務のデジタル化
クリエイティブな仕事は流動化やシェアリングで対応できますが、オペレーティブな業務はIT化やAIによる効率化が求められます。飲食店でタッチパネルやモバイル注文が普及しているように、他の産業でも同様の取り組みが必要です。
現在、日本のIT人材は非常に少なく、アメリカの約4分の1と言われています。IT人材の育成が遅れている現状では、すぐに解決は難しいですが、IT化を進めなければ日本の競争力が低下するリスクがあります。
人材活用の柔軟なビジネスモデル
アクシスコンサルティングでは、必要に応じて外部のフリーランスやコンサルタントを活用する柔軟な体制を整えています。
たとえば、CIOを正式に採用するまでの間、フリーランスのCIOを一時的に採用することで、プロジェクトを止めることなく進められます。このような人材活用により、企業は迅速かつ効率的に経営戦略を実行できます。
キャリアと市場価値の違いを理解する
企業内での評価と市場での評価にはタイムラグがあります。たとえば、デジタル分野が注目され始めた当初、その分野で働く人々はすぐには評価されませんでした。しかし、現在では市場価値が急速に高まっています。
また、セキュリティ分野のように、10年前には注目されていなかった分野で積極的に活動していた人材が、現在では高い市場価値を持っています。
コンサルタントはフリーランスや副業の時代へ
フリーランスとして成功するためには、セルフマネジメントが重要です。また、トレンドのスキルや経験を持っているかどうかも鍵になります。
たとえば、『フリーランスとして働いたらどれくらいの単価になるか』という相談をいただいたときには、その方のスキルや経験に基づいてアドバイスします。転職するか、独立するか、どちらでもサポートできるのが当社の強みです。
副業やフリーランスにおいても、まず社内でしっかりと評価を得ることが重要です。その上で、どのレイヤーの案件に参加するかを決めていきます。
中長期的なキャリア支援の重要性
アクシスコンサルティングでは、一度きりの転職支援だけでなく、中長期的なキャリアの成長を支援する仕組みを整えています。特にマネージャー以上の層には、定期的な面談やフォローアップを通じて、4年以上にわたる支援を提供しています。
転職はあくまでキャリアの一部であり、その後のキャリア全体を見据えたサポートが求められます。
プロジェクトを支援した後に、そのまま社内でポジションを作って内製化する流れも得意なので、それがクライアントから見た当社の大きな強みです。