生成AIを活用したSEOライティングツール「CreativeDrive」を提供する、株式会社chipperの代表、十時悠径様にお話を伺いました。生成AI業界に興味を持つ人や、今後のキャリアへの活用を模索する人に向けて、最新の業界トレンドを追いながら、自分のキャリアと掛け合わせて新しい価値を生み出す方法を探ります。
株式会社chipper
代表取締役
十時 悠径さん
新卒で楽天株式会社に就職しECコンサルタントに従事。12年新卒で新人賞や楽天賞を受賞。また静岡支店立ち上げや、神奈川でのマネジメント経験を経て17年に株式会社chipperを創業。翌18年にはArts Economics Academyにてグランプリを受賞。累計1,000以上の企業に対してグロースサポートを行う。D2Cにおけるブランドの立ち上げといった一気通貫した販売モデルの構築が得意。現在は生成AIを活用した業務支援ツールを中心に事業を展開中。
生成AI業界で活躍するためには情報収集が欠かせない
生成AI業界で活躍するためには、最新の情報を常に把握していることが重要です。業界トレンドや新しい技術、企業の動向を知るためには、情報収集が欠かせません。
SNSを活用して最新情報をキャッチアップ
最も手軽に始められる情報収集方法は、SNSの活用です。特にX(旧Twitter)は、業界の最新情報やトレンドをリアルタイムで把握するのに最適です。生成AIに関する最新の話題や、専門家の意見をフォローすることで、日々の情報をアップデートできます。
経営者視点での情報収集で将来性を見極める
もう一歩進んだ情報収集方法として、リスクマネーの流れを追うことが挙げられます。特に海外の企業がどれだけの資金を調達しているのかを把握することは、業界の将来性を見極める上で重要です。投資家がどの領域に注目し、どの企業に資金を投入しているのかを調べることで、業界の成長分野や注目されているプロダクトを知ることができます。
自分のキャリアと生成AIの掛け合わせで新しい価値を生む
情報収集を通じて得た知識を、自分のキャリアとどう掛け合わせて新しい価値を生み出すかが鍵となります。業界トレンドを把握するだけでなく、自分自身のキャリアやスキルセットと組み合わせることが重要です。「生成AI×何か」という視点を持ち、自分の強みを活かせる領域を見つけることが成功への近道です。
「自己ブランディングでファンを増やすこと」が成功への近道
例えば、現代のアーティストは、SNSを通じて自身の作品や考え方を発信することが求められます。SNSでの発信力が高いアーティストは、多くのフォロワーを獲得し、その結果として作品の売り上げにも繋がることが多いです。
また、作品そのものの良さだけでなく、アーティスト自身が魅力的であることも重要です。アート作品を購入する人々は、作品だけでなくアーティストの人間性や考え方にも興味を持ちます。自己ブランディングを通じて、自分の魅力を発信し、ファンとのつながりを深めることが成功への近道です。
生成AI業界で活躍するときも、発信力が試される
同じように、生成AI業界でも、インフルエンサーとして情報を発信することで、ワークショップやコンサルティング案件を得られる可能性が広がります。発信力を高めることで、業界内でのポジションを確立し、新たなビジネスチャンスを掴むことが可能です。
全ての職種に求められるロジカルシンキング力
生成AI業界への転職を考えるとき、エンジニア、マーケター、コンサルタントなど、それぞれに必要なスキルは異なります。ただ、共通して重要なスキルとして、ロジカルシンキングや因数分解の能力が挙げられます。プロンプト一つ取っても、物事を細かく分解し、順序立てて考える能力が求められます。MECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)の原則を理解し、物事を整理整頓する力を身につけることで、生成AIを効果的に活用することができるのです。
生成AIを活用すれば、よりクリエイティブな作業に集中できる
「生成AIの発展によりライターや編集者の仕事がなくなるのでは」という声もありますが、私はそうは思いません。生成AIは、統計的なデータに基づいてアウトプットを生成しますが、一発で完璧な記事を作ることはできないからです。生成AIが提供するのは、あくまで大量の情報を元にした下書きに過ぎません。ライターの役割は、この下書きをチェックし、リライトし、情報を整理することです。
CreativeDriveを利用した情報整理活用例
例えば、弊社が提供しているCreativeDriveというプロダクトでは、生成AI×データを活用し下書き記事を生成します。ライターはこれらの下書きを元に、SEOやリード獲得に繋げる記事を作成します。同じキーワードに対して複数の記事を生成し、その中から最も有益なものを選び出し、さらにリライトして完成度を高めます。これにより、ライターは効率的に高品質な記事を提供できるのです。
生成AIは一次情報の処理が苦手
生成AIが生成する記事は、統計的に正確な情報を含んでいますが、人間が提供する一次情報には及びません。特にインタビュー記事や新しい情報に基づく記事は、人間が直接取材し、アウトプットする必要があります。その際に、面白いコンテンツにできるか否かはインタビュアーのスキルが重要で、面白い切り口で情報を引き出せるかに影響を与えます。
技術の組み合わせで、より高精度なコンテンツが生まれる
CreativeDriveでは、ユーザーのリライトデータを学習し、記事の質を向上させる仕組みを導入しています。ユーザーが記事を修したリライトデータ、サイトに訪れた消費者の行動データ、企業の独自情報を学習することで、ターゲットに合わせた内容で、より正確で読みやすい記事を生成するAIパーソナライズ機能を裏側で実装しています。
しかし最終的な成果物は、人が修正内容を判断したアウトプットが必要になります。今のAI技術だけでは、内容のファクトチェックができないためです。こうした技術を組み合わせることで、AIと人間の協力により質の高いコンテンツが生まれるのです。
人口減によるジョブ型雇用の導入が急務
日本の労働人口が減少する中、企業は海外のリソースを活用することが必要です。ジョブ型雇用を導入し、特定のタスクを海外の人材に任せることで、効率的に業務を進められます。これにより、国内の人材はより高度な業務や創造的な仕事に専念できます。
人間の価値である「思考する力」を強化する
ジョブ型雇用が増えていく中では、どこに価値を見出すかが重要です。まず、人間の価値とは何かを考える必要がありますが、結論として、考える力や思考する力が重要です。生成AIは一般的な回答を提供できますが、独自の視点がなければ競争に勝てないからです。独自の視点や洞察力を持つことが、ビジネスの成功につながります。生成AIをうまく活用しながらも、人間の思考力を強化することで、新しい価値を創出できます。
AIと相性がよくない業界では、職人文化の継承が求められる
生成AIが得意とするIT業界と異なり、ハードな業界ではAIの導入に時間がかかります。こうした分野では、日本の職人文化を継承し、専門技術を磨くことが重要です。AIと人間の役割を明確に分け、それぞれの強みを活かすことで、持続可能なビジネスモデルを構築できます。
生成AIのスキルは今後の必須能力
生成AIの市場は、クラウドサービスと同様の成長曲線を描いており、数年後には当たり前の存在となることが予測されています。市場の成長は、投資家がどの領域に資金を投入しているかを見れば一目瞭然です。この成長を前提に、企業や個人は生成AIを使いこなすスキルを身につけることが重要です。
企業も個人にも生成AIスキルの習得が求められる
クラウドサービスが当たり前になったように、生成AIも今後のビジネスの標準ツールとなるでしょう。これを使いこなせるか否かが、将来的な成功を左右するポイントとなります。したがって、企業も個人も生成AIのスキルを習得し、その活用方法を常にアップデートしていく必要があります。
生成AIが当たり前になる未来
生成AIの市場成長スピードは非常に速く、今後もその勢いは続くと予測されています。統計学的に見ても、同じような成長曲線を描く市場は成功する傾向が強いです。ベンチャーキャピタルもこの成長を見越して投資をしており、これは生成AIが当たり前の技術となることを示しています。
生成AIに懐疑的な人たちとの調和が、普及の鍵
生成AIに対して懐疑的な意見を持つ人々も少なくありません。特にエンタープライズ企業では、若い世代と年配の世代が共存しており、全員がAIを受け入れるわけではありません。しかし、これを無視しては生成AIの普及は進みません。
生成AI時代におけるキャリア形成
生成AIが当たり前の世の中になる中で、最前線でこの技術に触れる環境に身を置くことがキャリア形成において非常に重要です。ただし、生成AIの得意領域はコンテンツ生成という要素にすぎません。もちろん生成させる過程や、生成物の品質は日々改善され続けているため、アップデートに追いつきながら使いこなせるようになることも価値になります。
一方で生成されるコンテンツ品質基準が今後世の中全体を通しアップデートされることは間違いないため、そうした時代の中で生き残るためには、どういう思考で物事を捉え、考察できるかだと考えています。世の中にありふれた情報をただ発信しても意味がなくなります。自分だからこそ考えられる内容こそ意味が生まれてくると考えた時に、いかに考察力を磨くか?他とは異なる切り口を持てるかが、どのような仕事をするにしても重要なことだと思います。