「総合的な人材サービスを通じて地域社会への貢献」を理念として、新潟県内を中心に人材派遣・人材紹介・業務請負事業を展開している株式会社コーケン様。創業以来、人と企業を結ぶパートナーとして、時代のニーズに応える雇用の創造に尽力しています。
今回は、代表取締役を務める田村健様に、地方企業の人材採用における今後の課題と必要な取り組みについてお話を伺いました。
株式会社コーケン
代表取締役
田村 健さん
千葉県出身、千葉育ち。体育大学を卒業後、葬儀社、スポーツインストラクター、景品企画製造メーカーなど様々な業界を転々とし、2004年に株式会社コーケンに入社。先代の急逝を機に代表取締役に就任。時代の変化を捉えた柔軟な思考をもち、地域の人材戦略に貢献している。
大都会から心機一転、地方企業での挑戦を決意
新潟県の人材派遣企業に転職
株式会社コーケンは、私の伯父にあたる先代の社長が1993年に新潟で創業し、今年で32期目になります。私は創業11年目に入社し、今年で21年目になります。7年前に伯父が急逝したことを機に代表取締役に就任しました。
私自身は、千葉生まれの千葉育ち。もともとは体育大学で教員を目指していたのですが、就職氷河期だった当時、教員採用率は低く、教職に就くことは叶わず。大学卒業後は県内大手の冠婚葬祭業の会社に就職しました。しかし長続きせず、その後もスポーツインストラクター、景品企画製造メーカーなど、様々な職を転々としていたときに、伯父から誘われ、「一度逃げられないところに身を置いて、挑戦してみよう」と一念発起し、新潟行きを決めました。
地方移住の鍵は、現地での仕事や暮らしがイメージできるかどうか
東京で働いていた私が新潟行きを決めたとき、突然の決断に周囲は驚いていました。
ただ、私にとって新潟は、千葉に次ぐ故郷のような場所だったのです。創業社長の妹である私の母親は新潟出身で、父親もたまたま同県出身。子どもの頃から毎年のように来ていたので、新潟で暮らすことへの抵抗感はほとんどありませんでした。
また、前職でも新潟を開拓する役割を任され、毎月のように出張で新潟を訪れていたんです。偶然ではありますが、今考えると必然的です。移住後の暮らしをイメージできていたからこそ、安心して勝負に来れました。
ただ、都会と地方だと生活スタイルや文化がだいぶ異なりますので、都会暮らししか経験がない方が、いきなり地方移住をするにはハードルが高いのかなと感じています。
特に大きな違いの一つとしては、交通機関でしょうか。都会だと、電車やバスなどの公共の交通機関が充実しているので、車がなくても生活していけますが、地方は一人一台車がないと生活していけない地域が多くあります。私が住んでる地域は、電車が1時間に1本くらいで、もっと少ないところもあります。
移住を決める前に何度か足を運んで、できれば事前に少しでも現地での働き方や生活を体験してみることをオススメします。
新潟県燕三条地域では、工場を開放してものづくりの魅力を発信する「オープンファクトリー」という、会社見学ができるような取り組みもありますので、こういった機会もぜひ活用してみてください。
参考:https://www.tsubamesanjo.jp/kanko/factory/
労働力不足と地方企業の未来を支える人材採用
「派遣で働く」ことは、不本意ではなく働き方の選択肢の一つに
日本では1995年をピークに、生産活動を中心となって支える15~64歳の人口を示す、生産年齢人口は減少を続けていますが、就労人口自体は増加しています。
ひと昔前だと派遣労働者は「非正規雇用者」といわれ、正社員との格差がクローズアップされ、派遣切りや待遇の違いなどについてよく議論されていたものでした。
しかし現在は、多様な働き方や価値観が受け入れられるようになった背景もあり、自ら望んで派遣就労を選ぶ人の割合が増えてきています。また、有給取得や、福利厚生面においても正社員とほとんど変わらないくらい改善されてきているのです。
結婚や出産後も働く女性や、働く高齢者は増えており、今の日本は働ける人はほぼ働いているという状態。それでも人手が足らず、外国人雇用も年々拡大しています。
大企業を支える地方企業への人材確保が課題
ネームバリューで人が集まる大企業とは違い、中小企業は待っていても人は来ません。大企業を支えているのは地方の中小企業ですので、そこに人が集まらないと、日本は衰退の一途をたどるばかり。
さらに、地方では子どもたちの多くが県外へ流出していく現状があります。中小企業は、行政とも連携しながら、地域の子どもたちと接点を持つ機会をつくり、将来地元で働くことを選択肢の一つとして考えてもらえるような種まきをしていく必要性があると考えています。
自ら求職者との接点をつくり、選ばれる企業へ
新潟県だけに限らずですが、人材を確保したければ、これまで培ってきた企業それぞれの技術や文化など、自社の強みや魅力を自ら発信し、求職者に知ってもらう機会をつくっていかなければなりません。
その際に、時代のニーズを捉えながら私たち経営者も変化をし、新しい挑戦をしていかねばと思っています。例えば、現代は、求職者の9割がスマートフォンを活用する時代。特に若い世代の方々は、極力失敗はしたくないので、事前に会社の情報を入念に調べますが、その時点で情報が出ていないと、当然ながら選択肢にも入りません。
検索したときに見つけてもらえるようホームページを改善したり、スマホからでも見やすいような仕様に改善したり。YouTubeやInstagram、FacebookなどのSNSも活用しながら、情報を届けていくこともこれからは必要不可欠ですので、予算をしっかり投資していくことが重要だと感じます。このようなお話を、地元の経営者様の前で講演させていただく機会もいただいております。
人と企業の架け橋として地域の未来に尽力する
実はもう3Kではない!工場現場は安全・清潔で働きやすい
ものづくりのまち燕三条地域に位置する弊社は、製造業のお仕事を中心に派遣業を続けてきました。製造業に興味がない方からすれば、私たちの会社と出会う機会は現状少ないのかもしれませんが、もっと存在を知ってもらいたいと思っています。
工場での仕事というと、若い世代の方を中心に、あまりいいイメージを抱かないのではないでしょうか。夏は汗水垂らしながら、冬は寒さに耐えながら……といった、「きつい、汚い、危険」という3Kが思い浮かぶかもしれません。
しかし、今はだいぶ環境が変化しているんです。冷暖房は完備され、技術の進化により清潔で安全な環境であることがほとんど。実際に見ていただくとだいぶイメージが変わると思います。
弊社では、求職者の方には全員に必ず職場見学してもらい、1ヶ月働いてもらったうえで、継続して働きたいかどうかを検討していただきます。イメージだけで毛嫌いをして、求職者の可能性が損なわれてしまうのはもったいないですし、知らないからこそ選択肢に入らない場合もあると思うので、まずは企業と求職者の接点をつくっていくことも、私たちの役割だと考えています。
求職者と企業双方から信頼されるパートナーであり続ける
弊社では、登録後に一人一人に専任の担当スタッフがつき、職場見学から就職後までしっかりサポートします。職場で言いづらい悩みや、人間関係でストレスを抱えた際はすぐに相談でき、企業側ともコミュニケーションをとりながら、求職者と双方にとって納得感がある状態を保てるよう体制を整えています。
まずは求職者が言うべきことを我慢したり、我慢させたりということは絶対あってはならないと思っており、企業側に対しても「言うべきことは伝える」姿勢を貫いてきました。地場だからこそ、これまでの関係性のなかで妥協することなく、足を運んで対面で話すことを大切にしています。
また、求職者の資質や適性を見つけながら、求職者と企業双方にとって良いかたちでマッチングできるよう、社員教育も徹底し、毎朝必ずミーティングをして、情報共有を欠かしません。
求職者の最初の一歩から納得の仕事が見つかるまで伴走
派遣での就職を考えている方の中には、自分だけではなかなか仕事が決まらないとか、何をしたらいいかわからないとか、何かしらのサポートを必要としている方も少なくないと思うのです。
若い方だと職歴がほとんどない方もいますし、自分に何が向いているのかもわからない。
でも、わからないからこそ、まずは一歩踏み出してみることが大事で、私たちはそっと背中を押しながら、チャレンジしてみようかなと思える場所を一緒に探すことからはじめます。まずは1ヶ月間、合わなかったら、次はここはどうだろう?と話し合いながら、何ができるか、どんな職種が向いているのかを試しながら、合う仕事を一緒に見つけていきます。求職者の皆様には、弊社を利用して自分に合うものを見つけてもらいたいと思っています。