【高崎健康福祉大学博士】最適な医療の提供、IT化のために医療情報が業界を変革する

高崎健康福祉大学、健康福祉学部医療情報学科にて講師をされている、髙橋真悟様にお話を伺いました。

高橋様は、医療情報学科で教鞭を執っており、医療×ITの分野で活躍されております。また、自身の研究室では生体計測、認知症の予防に関する研究を行っており、令和5年には学会で表彰されるといった実績があります。

今後の日本が抱える高齢化社会に対して、医療とITの可能性や福祉に携わる学生のキャリアについて紐解いていきます。

高橋慎吾さん

高崎健康福祉大学
博士(保健福祉学)
髙橋 真悟さん

高崎健康福祉大学に入学後、大学院修士課程と博士課程を経る。現在は講師として教壇に立ちながら、認知症の予防に関する研究も行う。2023年の9月には「指タッピングおよびNIRSを用いたニューロフィードバック法の提案」に関して日本認知症予防学会で発表され、浦上賞を受賞されるなど精力的に活動中。

医療分野はさらなるIT化が進む

高橋さん

ITの導入が進む中で、仕事量は増加しているにも関わらず人口減少は年々進行しています。そのため、今までの社会とは異なり一人あたりの生産性の向上が求められています。

医療分野でも業務の自動化、効率化が必要であるため、ITの活用が進められており、実際の現場にも落とし込んでいくことが期待されています。行政など他の分野でも既に業務の自動化が進んでいる例もあり、医療分野もますますIT化が進む可能性があります。

また、医療分野を含めて「仕事がITに取られる」ことへの懸念もあり、両者のバランスを取る必要がありますが、ITの活用と業務効率化については、今後ますます発展していく領域であると感じています。

IT知識と技術の進歩によって医師の働き方改革にも導入されていく予測

例えば、医師のサポートにおいて、高度な知識、スキルを持った医療事務職の育成は急務だと思っています。医師事務作業補助者という資格がありますが、現在は、電子カルテの入力を音声で行うような技術もあります。

IT化については、医師の働き方改革にも積極的に導入されていくような傾向があり、今後もホットトピックとして続いていくと予想しています。

高崎健康福祉大学の授業ではデータサイエンスは必須で学ぶ

IT知識やスキルが現場で求められている背景から、全学的にデータサイエンス領域の授業が数年前から始まりました。具体的には「データをどう取り扱うか」といった分析能力を養う必要があります。

例えば医療に関しても、どういった治療が効果的か過去のデータを振り返ることで、最適なクリニカルパスを患者さんに提供できます。

もちろん一部の専門領域だけではなく、これからの時代は全ての職種がデータに基づいた業務を行える人材が求められていると思います。

本学では、複数学科とのグループワークによって様々な視点を得られる

本学は理学療法学科、看護学科、薬学科、さらには健康栄養といったコメディカルな学科が多いのが特徴であると思います。

また、授業の中で医療アプローチ論という全学科共通の科目があり、チーム医療を推進する上で他の職種の役割、活動を学ぶ講義があります。

例えば1つの学科だけの大学だと、そういう多職種と関わりながら学ぶ機会はなかなか無いと思います。総合大学のメリットの一つと言えるでしょう。

本学科学生の卒業後の就職先は主に医療・IT企業・一般企業の3つに分かれる

高崎健康福祉大学の生徒

高崎健康福祉大学は、医療に特化していますが、医療情報学科のように情報寄りの学科もあり、さらには農学部もあるため他領域を学べる大学です。

現在、医療情報学科の定員は80名で、診療情報管理士を養成する“医療コース”と“情報システムコース”に分かれています。

卒業後、医療系に進む学生は約3割で、その中の3分の2が医療機関、残りが医療関連企業やその他の業界に就職します。

情報系コースでは約7割がIT企業やITに関連した職に就職し、残りが一般企業に進みます。他の学科では、農学部の学生は農業系や食品会社などに就職し、医療系学科の学生の多くは病院や介護施設などに就職している印象です。

本学科の学生は群馬県内での就職を志望する傾向がある

本学科学生の就職先は、地元に密着した仕事を目指す学生が多いです。本学科の学生は、群馬県出身の学生が多く、卒業後も群馬県で働きたいという希望を持つ傾向にあります。

そのため、キャリアを積んで都内に進出する学生を育てたいという思いがあります。一方で、医療系の卒業生に関しては全国どこにでも病院があるため、新卒で東京の大きな病院に就職して経験を積み、その後地元に戻るために転職する方もいます。

今後、医療系においても「雇用の流動性」が向上すると考えています。

地元への就職は金銭的に有利な側面がある、一方でスキルアップを目指すなら上京する
傾向

今までの経験上、地元に残りたい方と上京する方では、学力や勉強に対する志しでの差はほとんど感じられません。

例えば実家から通えた方が、家賃の負担が抑えられるため金銭的に有利と考える方もいます。

一方、都内に人口が集中しているため医療機関では必然的に患者さんも多く来院されることが予想されます。

診療情報管理士の職を目指すなら資格取得が必須

診療情報管理士の場合は、有資格者限定という求人が多いです。ただし病院事務職に限ると、診療情報管理士の資格が無くても病院系の総合職での採用の可能性があります。

病院の総合職の場合は、必須の資格を求められないケースもあります。もちろん医療領域の資格を持っている求職者の方は、医療機関や医療に関連した企業側からすると有利に働くことは間違いありません。

また、医療の知識に加えて、IT系のスキルが重宝されると考えております。どの職種でも、一定のPCのスキルは求められますので、本学でITスキルを身に着けてもらえたらと思います。

情報技術に関する先進的な知識と実践的スキルが社会、生活を支える

医療情報学科の情報システムコースでは、プログラミングや情報セキュリティ、さらにはAIなどの知識も学ぶことができます。

いまではChatGPTなどの人工知能の技術が私たちの生活に身近にあります。今後、IT技術はますます発展していく中で、そういった知識やスキルが社会だけでなく、生活も支えていくと思います。

もしも、こういった内容を学びたいなら本学科を調べてみてください。

診療情報管理士は病院の中核を担うキャリアアップが目指せる

医療事務における診療情報管理士の仕事は、病院経営に直結するといえます。

例えば、患者様のカルテなどのデータだけではなく、病院全体の収支におけるデータ分析や医療統計を行うことで病院経営に貢献することができると思います。

病院の経営に関わる知識を日々インプットすることで、将来的に病院の中枢を担うようなキャリアアップが目指せるでしょう。

以上のことから、診療情報管理士の資格取得はこれから医療機関に就職する学生にとって大きな武器になるんじゃないかなと思います。

加えて、データに基づいて患者さんに「質の良い医療の提供」を行うことでやりがいを感じられるという声を聞きます。

高品質の医療が提供できると、地域活性化や地域の医療を担うという大きな期待を感じられるかもしれません。

自身の経歴や研究から今後の展望を紐解く

現在、医療に関連した知識やITスキルを学びつつ、生体計測に着目した研究を行っています。

特に高齢者の脳機能や認知機能を測定する研究に取り組んでおり、昨年の認知症予防学会で賞を受賞しました。

今後、高齢化が進む中で非薬物療法の重要性が増す中で、私自身、非侵襲的に脳機能を計測できる装置を用いて認知症を予防する研究を続ける予定です。

科学研究費助成事業(科研費)も採択されており、これからもこの分野に貢献していきたいと思っています。

福祉領域を志すなら「誰かを支えたい」気持ちを大切にする

私から現役の高校生に伝えたいことがあります。今後、高齢化が進む中で医療は必須となり、IT技術も後戻りしないでしょう。

例えば、学生が一人一台タブレットを使う現状が教科書に戻ることは現実的に考えられません。

IT技術が進化し、生活に取り入れられていく中で、医療とITの分野は衰退することなく成長し続けると考えます。これらの分野はビジネス的にも重要であり、今後もその重要性は増していくでしょう。

高崎健康福祉大学の学生は、医療業界に進む人々は社会に貢献したい、誰かを支えたいという自利利他の思いを持っている方が多いです。

また、医療・健康に対する重要性を認識している学生が多く、高齢化が進む中で医療と健康は必須の分野となります。

将来を見据えて、これらの問題を解決しようとする意思を持つことで、自身のキャリアや道が開けると思います。

私のゼミはコミュニケーション力が高く明るい性格の方におすすめ

医療業界では、コミュニケーション能力が欠かせないと感じています。本学科の卒業研究では社会に貢献するために成果を発表する必要があり、人前で話すプレゼン力を養う科目も用意されています。

私は日頃から学生に「人とのやり取りが大事」と伝えています。また、自分で問題を見つけて解決策を考え、行動できる力も必要です。これは研究だけでなく、就職活動や資格勉強にも役立ちます。

そういった学生であれば、卒業後もキャリアアップができる傾向にあると感じます。ゼミ(研究室)は明るく楽しい雰囲気で、コミュニケーション能力があるからこそ成り立っていると考えています。

周りとの空気感を共有し、一緒に楽しめる学生が医療情報学科に来てくれると良いなと思っています。

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