【専修大学教授】かけがえのない人材になるために、自分ができることに取り組む

今回は、専修大学において国際経済の教員として活躍している小川健先生にお話を伺いました。

教員でありながらも、貿易理論などの研究活動にも熱を入れている小川先生。

これまでさまざまなプロジェクトに携わってきた小川先生の視点から、これからのキャリア形成に必要なことは何か、また今後の展望についても、お話しいただきました。

専修大学
国際経済 教員
小川健先生

1982年生まれ、愛知県名古屋市出身。
大学で数学系の学問を専攻したのち、大学院・修士入学時に経済学部に移籍した。
約3年ほど広島市の中堅私大で経済数学を教え、現在は専修大学に国際経済の教員として在籍している。

大学教員の魅力は、研究を深めながら授業を展開できること

私が大学教員を目指したのは、「教える」ことを重視して授業を展開できるからです。例えば、小中学校や高校の教員は、専門知識を教えること以上に児童・生徒を「育む」ことが求められます。また、世代ごとの学習ペースを合わせるために「ここまでしか授業を進めてはいけない」という学習指導要領上などの制限もある程度は存在します。

一方、大学では原理的には教える内容に上限がなく、学生も教員も共に知識を追求できる点に魅力を感じました。同時に、大学教員は「研究員」ではありませんが、自分の興味のある分野を研究することができる点も、大学教員を目指した理由のひとつです。

しかしながら、大学教員として定期試験1発勝負で単位の可否は決めないということを心掛けています。やむを得ない場合を除いて、可能な限りやり直しができる体制を整え、学生の理解度不足を解消できるよう努めています。

水産の可能性を模索するために、貿易論の理論研究を援用

出典:Takarada, Dong, and ogawa(2013, RIE)を基に筆者作成

私が行っている研究は、貿易論の理論研究です。「鮪や鰻の貿易」など、主に水産物などの再生可能資源の入った貿易における貿易理論の研究をしています。

研究をスタートしたのは、RIETI(経済産業研究所)のRA(リサーチ・アシスタント)を務めたことがきっかけです。水産は潜在能力が高い一方、適切な管理ができていない事例が多くありました。そこで、理論的枠組みを作る必要があったのです。

また、講義の必要性により貿易論の理論研究のほか、暗号資産や外貨建て保険など多岐にわたって研究を行っています。

創設当初から携わったプロジェクトに対する熱い想い

水産学若手の会
参照:水産学若手の会

これまで数々のプロジェクトに携わってきましたが、その中でも、特に日本水産学会の「水産学若手の会」に創設当時から参加したことが印象に残っています。水産学で社会科学系は少数派でありながら、前任校在職時のときから参加しました。異分野交流として創設委員メンバー8人の中で最も長く携わっており、大変思い入れがあるプロジェクトです。

また、新型コロナウイルス禍では、2万人規模の大学教員向け互助的Facebookグループに携わりましたね。私自身も積極的に書き込みを行い、一時はモデレータにも加えていただきました。そこで得た知見の中には今でも活用している事例が多くあり、大変貴重な経験となりました。

キャリア形成に大切なことは、上の世代にも興味を持つこと

10〜30代の若い世代の方々がキャリア形成をするにあたって、適用可能範囲を理解して使う場合に限り、統計に関する知識を身につけることはおすすめだと思います。また、英語やITは必要となりますが、それだけでなく「+1」の考えを持つことは大切でしょう。1つだけの能力ではその道をきわめた人にかないませんが、2つあることで1つだけとてつもなく強い人には向かないことを担えるようになるからです。

さらに処世術として、自分より上の世代の常識・話題に興味を持つことをおすすめしたいです。たとえ自分の世代では流行っていなかったとしても、先輩世代が当たり前に知っている歌や出来事、事件などの話ができると、お互いに接しやすくなります。上の世代をシャットアウトしてしまうと、さまざまな助言を受けづらくなったり、困ったときにも相談しづらくなったりするものです。長く一緒に働くからこそ、自分から歩み寄ることが大切でしょう。

時代が求めることに対して、自分ができることに取り組んで

小川健先生

これからの時代に活躍するためには、その時代その時代で求められることに対し、自分ができる範囲で取り組み、能力を磨く必要があると感じています。

私自身も、たとえ研究の第一線にいるわけではなかったとしても、「あの人は、この分野において存在する意義のある人物だ」と思ってもらえるよう、教育に励んでいきたいと思います。

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