せかいくSEKAIKU
せかいく
代表
関口 真美さん
戦略的幼児キャリアコンサルタント兼国際マナー講師。
こどものキャリアや育て方に悩む親に寄り添い、幼児期(主に6歳まで)のキャリア戦略から日頃の子育ての悩みや国際マナーレッスン、フルオーダーメイドの幼児教育プログラムの提案などで幅広くサポートする幼児教育のプロフェッショナル。幼少期にインターナショナルスクールに通わせたことにより、その後のこどもの進路に悩む親と多く出会うことで、こどもを育てる親に対する教育の重要性を痛感。
日本と海外の幼児教育に合計18年携わり、2,000組以上の親子と接した経験を元に、戦略的幼児キャリアコンサルタントとして独立。
今回はせかいく代表、関口真美さんにグローバルな人材育成のプロに海外で就職や働くためのキャリアアップ法をお伺いしました。
独立のきっかけとなったインターナショナルスクールでの経験そして疑問
せかいくを立ち上げるきっかけとなった出来事は、インターナショナルスクールでの勤務経験です。インターナショナルスクールは日本の教育と違うんだろうなという期待感がありました。ですが実際勤務すると働く前の期待感とは異なり、日本との教育、マナーや根本の部分の教育とのズレを感じました。そして日本の保育園や幼稚園の教育レベルの高さも実感しました。
インターナショナルスクールやインターナショナルプリスクールが増えてきている中で、老舗のインターナショナルスクールなどは現在は変わっているかもしれないですが、私が働いていたスクールでも保護者の不安が高まっている時期でした。具体的には、
- このまま、ここでこの教育を受け続けて大丈夫なのだろうか?
- 日本人として生活したり受験先の日本の学校の子やスクール以外の子と上手くコミュニケーションをとれるのだろうか?
- インターナショナルスクールに通わせているけどこんなはずじゃなかった。
などです。
今のままの教育を続けていては、グローバルな教育も日本人としてのマナーも中途半端になり、こどもも保護者も教育の迷子になる。こども達や保護者がグローバルな教育と日本人としてのアイデンティティを築けるようなコンサルティングをしてあげたい。
そう強く思いせかいくの設立、独立をいたしました。
これからの強みになる日本人としてのアイデンティティせかいくでの活動
日本国内のご家族が主なクライアントになります。
私の経験から、日本人としてのアイデンティティは必ず世界で武器になります。
日本人としてのアイデンティティを育てながら語学の種も育ませてあげようと0歳から6歳までの子を対象に教育を進めていく事を考えました。
0歳から6歳までの間に大半の子どもは人間としての軸を作ります。その期間を重視して
こどもに様々な体験をしてもらい、「できなくても大丈夫」と自信を無くさせない教育方針を作りたい。
そんな想いに加え、独立のきっかけである教育迷子のご家族との面談から、コンサルティング事業を展開しています。
ご家族からの相談の元、どの様なこどもへ成長させてあげたいか、子どもの意思も尊重し、逆算して6歳までのアプローチ方法を提案することを基本的なメニューとしています。
それから、保護者だけではなく、こどもへ関わる全ての大人、教育者、保育士、幼稚園教諭などに向けて、学校とはまた違った方法で人間としての土台を作る教育を共に考え、こどもたちに接して欲しい点を研修講師として教える仕事もしております。
また、もっと気軽に保護者の方も含めて海外の文化や旅行などを楽しめるようにするために、付き添いやベビーシッターなども事業としています。
こどもは親の背中を見て学びます。旅行という楽しい出来事なのに、やることが沢山でなかなか楽しめていない親を見るとこどもにも楽しくないイメージがつきやすくなってしまうでしょう。
でも保護者が楽しんでいる姿を沢山見たこどもは、大人って楽しいんだ!これからもっと楽しくなる未来があるんだ!と、挑戦し勉強するこどもに育ちやすくなります。
そういった思いで出張/旅行同行のサービスも考えました。
話せないのはコンプレックスじゃない
大人が他言語を楽しむ
英語が流暢に話せる、それだけが教育じゃないと思います。
ですが、グローバルなこどもを教育するにあたって必要になってくるのは言語の問題です。それは大人もこどもも変わらない壁だと思います。
私の他言語教育のモットーとしてまずは「母語力」、すなわち「日本語力をつけること」があります。
まずそこが、グローバルな人材の育成の一歩だと思っています。
次に、”他言語を話せないから怖い”といって、違いを怖がらない教育をすること、そしてそれを大人の背中から見せることです。
その様な教育方針でご家族やこども達にも接しています。
馴染んできた言葉とは違う言葉、肌の色、文化であってもそれを怖がらず、楽しく話して一緒に笑い合っている姿を見せる事が一番のグローバル教育だと考えているからこそ、
まずは大人が日本語以外の言葉を話す事、文化の違いを怖がらないこと。
が大切です。
そして絵本やこどもの興味関心に沿って育てていくことが最もこどものグローバル力に重要な点です。それは大人になった私たちも、話せないけど関わってみる、完璧な英語じゃ無いけど話してみる。そんな勇気がこれからのグローバルキャリアを作る上でもっとも重要な事だと実感しています。
これは、学ぶ大人達も参考にしたいキャリアアップの第一歩につながると思います。
また、先述したように日本人である自分に自信をもつ。「日本出身です。」と胸を張って対応することも大切です。
日本人としてのアイデンティと自分に対する自信がないと、海外での面接や会議などの場面で自信を持って前に出ることができません。
(例えば、海外の人たちの前で萎縮して前に踏み出せない、話せない、一緒に遊ぶ事ができない、などです。)
これらを言葉の壁のせいにするのは勿体無いと思います。まずはハローなどの挨拶から。その後はなんでも良いから接点を持った他言語話者に対しての失敗を恐れないこと。
それが海外コンプレックスや、言語の壁を越える秘訣だと思います。
海外での仕事や外資系企業で働く事を恐れない
全く海外の環境に接点のない人が、海外企業へ就職転職するのはかなりのハードルがあると思います。TOEIC などの資格を持っていなくても海外企業で働きたい方へのアドバイスとしては、働くためには英語は必須ではないということです。
英語を働きながら伸ばしていこうという、語学勉強を福利厚生としている会社もあり、国内インターナショナルスクールでは日本人は語学力不問の企業も多いです。
実際私が以前働いていたインターナショナルスクールでも、教師は外国の方がほとんどでしたが、ネイティブではなくても働くことは可能でしたし、こどもと一緒に先生達も学習する、そのような会社でした。
働きながら、海外の同僚とのコミュニケーションを実践して、自身の英語力や海外文化に触れる機会を増やし、仕事をしながら語学力を伸ばしていく事は可能です。
初めはわかる単語を使いながら身振り手振りで話してみる。そこからでも決して間違いではありません。
伝えたいという思いでコミュニケーションをとってみることが大切なのです。
完璧な言葉を羅列しなくても、分かってくれる外国人の同僚は沢山いました。
まずは、TOEICの点数を気にするより、外国人が沢山働いている企業に一歩踏み込んでみることをおすすめします。
とにかくやっちゃえ!ダメならダメで気にしない!そんな楽観的な気持ちもモチベーションに繋がりますよ。
そして、沢山の文化に触れることもキャリアアップのための大事なステップにつながります。
まずは大使館のイベントや海外文化を味わえるお店に行ってみる。そこで人脈が広がり
仕事にもつながることもあります。そこから新しい未来にも繋がると思います。
せかいくの今後の活動
せかいくでは今後、3つのプロジェクトを考えています。
①日本の文化体験をさせてあげられる、幼児施設を作る
日本に働きに来ている方や旅行で滞在している外国人のお子様や、日本人のこども達も一緒に日本文化や海外文化を体験しお互いを認め合える環境作りをしたいと思っています。
現在の日本ではまだそういう場所が無いので海外旅行者のお子様が安心して日本で遊べる場を作りたいです。
②幼児期の留学制度
夏休みなどを利用して海外の幼稚園へ交換留学の様な形で現地を体験できる環境を作りたいと思っています。
③教育や育児の悩み相談ができる福利厚生を作る
企業や子育てをしながら働く方に向けて月に一回相談日を設けてこどもの教育や育児の悩みや、迷いなどの相談に乗る相談所のような福利厚生も実現したいと思っています。
今やっている活動を維持しつつ、せかいくの活動や事業を日本国内で認識してもらえるようなアプローチと早期に先述したような非認知能力教育をすることの重要性をもっと広めたいですね。
おすすめ図書
【全改訂版 バイリンガル教育の方法】 (アルク選書)
中島 和子 (著)
全改訂版 バイリンガル教育の方法は私が話したバイリンガルを育てるためには、乳幼児期の適切な環境や教育が必要になるという私の活動を始めるきっかけとなっている本です。
0歳から英語だけ始めていてもバイリンガルになることはない。英語だけを話すことはできるが、母語である日本語は話せない。とにかく必要なのはちゃんとした、母語の文化、母国の文化を育てること。すごく参考にさせて頂いた本です。
【幼児教育の経済学】
ジェームズ・J・ヘックマン (著), 古草 秀子 (翻訳)
心の面を重視して教育されたお子さんは大人になってからも有意義な人生を歩む確率が高いという統計が出たという事が書かれています。私もすごく参考になって面白い内容だなと思った一冊です。