採用支援および採用戦略コンサルティングを行う株式会社HRコンサルティングの代表、田中 克典さんにお話を伺いました。
田中さんはリクルートで約18年間採用に携わったのちに、現在は就職CAFE、転職CAFEの運営を通して学生や転職希望者の就職・転職活動のサポートを行っています。
3万人以上の就活・転職相談を通して、多くの課題が見えてきたようです。
転職・就職活動やキャリア形成において大事にすべきことや、田中さんが行っているキャリア支援についてお話しいただきました。
株式会社HRコンサルティング
代表
田中 克典さん
リクルートにて、「リクナビ」「リクナビNEXT」を中心に営業&営業マネージャーとして、約18年間関西の中堅中小・ベンチャー企業を中心に採用支援及び採用戦略コンサルティングを数多く手掛ける。また営業グループマネージャーとして若手社員・新入社員の育成も務めた。
2006・2007年は関西のリクナビのプロジェクトマネージャーとしてリクナビライブやリクナビの商品企画も兼務。
2007年6月、株式会社HRコンサルティングを設立。以降17年間、採用コンサルティング及び就活CAFE、転職CAFEを立ち上げ、就活生と転職者の支援を続けている。
意識するのは会社の安定性ではなく、自分の市場価値
就職・転職支援を行うなかで、会社の知名度や規模などを基準にして就職先を選ぶ方を多く見てきました。しかし、大企業にもベンチャー企業にも、それぞれメリット・デメリットがあります。
たとえば大企業の方が均質的に教育をされている場合が多く、バランスのいい人材が揃っている場合が多いです。対して、ベンチャー企業には様々な人材がいて一人ひとりの個性が強く、教育方針にばらつきがあることも多いかもしれません。
一方で、ベンチャー企業の多くは若手に裁量を与えてくれます。厳しい環境のなかで、部下が成長できるように挑戦させてくれるのです。だから、私はベンチャーで働くことは自己研鑽の面で良いと思っています。
このように、大企業とベンチャー企業は一概にどちらの方がいいとは言いきれません。大事なのは、会社の安定性ではなく自分の市場価値をいかに高められるかです。
いまの時代、どの会社にいても安定する保証はありません。だからこそ、自分の市場価値を常に考えるべきです。「転職前提ではなくても自分はどれぐらいの値段で買ってもらえるのか」というのを常に考えながら仕事をする方が働き方の質も上がると思います。
そういう意味では何をしている会社?で選ぶのではなく、自分の得意なこと、強みが活かせるのはどんな職種(職務)でその職種(職務)はどの会社に身を置けば一番成長できるのかの視点で会社選びをするべきじゃないかなと私は思います。
自身の市場価値を高めるために、どうすべきか
大手の転職エージェントでは、求職者の経歴、希望職種など一定の条件をもとに求職者と会社を条件だけでマッチングさせ、たくさんの求人を紹介することが多いです。
ただ、条件マッチングだけで会社を選んでしまうと、「本当に求職者の望んでいることが叶えられるのか?」「求職者にとって最適な転職先なのか?」といった疑問が残ります。
もし転職した先が求職者のニーズと合っていなかった場合、また1年、2年と時間を無駄に過ごしてしまうことになるのです。 そうすると、本来きちんと最適な転職先を選んでいれば伸ばせた能力が伸ばせず、求職者の市場価値を下げてしまうことになります。
自分の価値を上げられる環境に身を置くこと。また就職・転職した先でも、自分のキャパシティを超えて存分に成長することが大切です。
就職・転職における自己分析の重要性
3万人以上の就職や転職の支援をしてきて感じたのは、自分のことを正しく喋れない方がとても多い、ということです。
面接官に対してやりたいことだけを話す方もいますが、その前に、自分にどんな力があってどんな形で会社に貢献できるのか証明する必要があります。
また、自分のキャラクターや個性をきちんと活かすことができれば、未経験転職もうまくいきやすいのです。
そのため、就職や転職において自己分析をきちんと行うことは必要不可欠です。
仮に運よく入社できたとしても、自己分析が足りずに転職をしてしまうと失敗することが多いです。条件だけで転職を考えることは、とても危険だと言えるでしょう。
就職・転職活動では前向きな心と抜かりない準備を
就職・転職活動では、なんといっても明るくポジティブに取り組むことが必要です。不採用になることも多々あるので、一つひとつに落ち込んでいると心が持ちません。転職活動の厳しさを認識して、不採用になったとしてもできるだけ前向きに励んでいきましょう。
準備が不十分な状態で就職・転職活動を行ってしまうと、本来の自分の良さが表現しきれず、もったいない結果に終わってしまいます。不採用になった場合は、改善すべき点を考えましょう。きちんと準備をして自分をアピールできれば、評価してくれる会社が現れるはずです。
「おせっかい」でも、悩みを気楽に相談できる居場所と、キャリア支援を
1日8時間以上働く仕事が楽しくないと、日々の生活や人生にも影響してくるでしょう。もやもやした気持ちを抱えて仕事をするのはあまり望ましい形ではありません。
そんな悩みを、会社の同期や大学の友人に悩みを相談しても、同じようなキャリアで話を聞いてくれても、解決策まで提案してくれる人はほとんどいない。
まして会社の上司に転職の相談できない。
悩みを抱えていて、誰に相談したらいいのかわからない。一人で悩んで鬱々している人もたくさんいます。そんな方には、ぜひ転職CAFEを活用してほしいです。
まずは、人生相談レベルでいいのでお話しましょう。客観的に話を聴いてもらえて、悩みを吐き出すことで頭のモヤモヤがスッキリしたり、自分の気持ちも整理されるはずです。
それと、就職CAFE・転職CAFE代表の私は、昔から人のお世話、おせっかいをすることが好きなんです。ひたすら、キャリアのお世話をしたいと思っています。仕事について気楽に相談ができる居場所を作り、天職を見つけられるように、これからもおせっかいをしていきたいですね。