コクー株式会社は「掛け算スキル」というコンセプトに基づき、未経験者を育成し、企業に新たな価値を提供しています。今回のインタビューでは、同社がどのように未経験者を育成し、差別化を図っているのか、また、地方創生への取り組みや今後のビジョンなど、多岐に渡ってお話を伺いました。

コクー株式会社
代表取締役CEO
入江 雄介さん
「デジタルの力でダイバーシティ&インクルージョンがあたりまえの社会を創る」というパーパス、「魅力あるチーム、新しい働きかた」というビジョンを掲げるコクー株式会社。
入江社長は社会のDX化推進と女性活躍推進に積極的に取り組んでいます。「人材」ではなく「人財」という言葉を使い、ITインフラ事業から最先端のAI事業まで幅広い分野に「DX人財」を展開させています。
DX化推進の狙いと女性活躍の背景
デジタルの力で社会問題を解決したい
DX化を推進する背景には日本の少子高齢化による労働力不足という深刻な社会問題があります。
ITの力で一人当たりの生産性を向上させることが必要であり、それがDX推進の大きな目的の一つです。
また、既存の人材がテクノロジーを身につけて活躍できるようにすることで、労働需給のギャップを埋め、日本を元気にすることを目指しています。
このように、コクー株式会社ではデジタルの力で多様性と包括性を実現する社会を構築し、社会問題を解決するスタートアップとしての役割を果たしています。
女性活躍推進のきっかけ
女性活躍推進は、DX化とともに重視しているテーマです。
これは最初から計画されていたわけではなく、「EXCEL女子」事業の開始がその原点です。
この事業は、ITインフラエンジニアよりも高度なスキルを持つ一般事務職を求めるお客様の声に応える形で始まりました。
調査の結果、多くの企業がそうした中間的なスキルを持つ人材を求めていることが分かり、また多くの女性がスキルアップを望んでいることが分かりました。
女性たちがキャリアアップできる機会を提供することが、女性活躍推進の大きなきっかけとなると考えています。

10年間の変化と成果
この10年間で、女性の就業率は大きく上がり、社会全体が女性だけでなくシニアや外国人など多様な人材が活躍できる場を求めるようになりました。
コクーでは、デジタル未経験の女性たちがロールモデルとなり、次の世代の女性たちのキャリア形成をサポートしています。
未経験であっても、彼女たちが新しいスキルを身につけ、成長していくことで、企業内での需要も高まっています。
このようなポジティブな循環が生まれたことで、事業はさらに拡大しています。
多様なバックグラウンドを持つ社員がもたらす新たな視点
未経験者採用の価値と挑戦
未経験だからこそ、既存の枠にとらわれず柔軟に新しい知識を吸収できるというメリットがあります。
特に中途採用においては、様々なバックグラウンドを持つ人材が集まることで、多様な視点からのアプローチが可能になり、企業に新たな活力をもたらしています。
このような環境は個々の成長を促すとともに、会社全体の成長にもつながっています。
デジタルマーケティングにおける差別化戦略
デジタルマーケティングの領域では、競争が激化していますが、コクーは女性の視点を活かして独自の戦略を展開しています。
女性消費者をターゲットとした商品を扱う企業にとって、女性の視点を持つマーケターがカスタマージャーニーを描くことは非常に強みとなります。
男性主導の業界において、女性特有の視点が差別化要素となり、お客様にとっても新しい価値を提供することができるのです。
株式会社コクーが大切にしているパーパス
理念共感型経営だからこそ同じ目標に向かえる
コクーにおいて、最も重要視されるのは「人」と「カルチャー」です。
企業の理念やパーパスに共感する人材を集め、社員が自由にアイデアを出し合い、実行していくことを推奨しています。
理念共感型経営を実践することで、従業員のモチベーションを高め、組織全体が一体となって目標を達成していく。
このようなアプローチが、企業の強みをさらに際立たせているのではないかと思います。
株式会社コク—が考える「掛け算スキル」とは?
ExcelやVBA、BI、RPAなどのスキルを組み合わせることを「掛け算スキル」と呼び、これにより高い付加価値を生むことができると考えています。
こうしたスキルの習得を通じて、1/1000の人材としての成長を目指すことができ、それがビジネスの競争力を高める要因となります。

人材採用の戦略
スローガンは「for me , for you.」
コクーが優秀な人材を確保できている理由の一つは、企業のビジョンや価値観に共感する人材を集めている点です。
「for me , for you. ~社員満足なくして顧客満足は成しえない~」というスローガンのもと、自分たちがイキイキと働くことで、お客様の満足や社会貢献につながるという考え方に賛同する人が集まっています。
また、リファラル採用にも力を入れており、信頼できる社員の紹介による採用が活発に行われています。
データサイエンスとAI事業の立ち上げ
コクーは、2024年7月にデータサイエンス事業とAI事業を新たに立ち上げました。
データサイエンスやAIの分野は急速に進化しており、それに伴う需要も増加しています。
お客様の需要に応え、課題を解決するためにはテクノロジーの強化は急務です。
コクーは時代の潮流に乗り、さらに多様な人材が活躍できる場を提供し続けることを目指しています。
キャリアに影響を与えた1冊
自分の仕事内容とリンクしてブレイクスルーが起きた「7つの習慣」
キャリアに大きな影響を与えたのは「7つの習慣」という本でした。
はじめはなかなか読み進められなかったものの、ある時その内容が自身の仕事とリンクしたことで大きなブレイクスルーを経験したんです。
日常の業務と学んだ内容がつながる瞬間に、真の理解と成長が訪れたと感じました。
さらに、知識を得るだけでなく、それを他者にアウトプットすることで自分のものになり、成長を促してくれると考えています。
最近読んでいるのは「未来」に関する本
最近は未来に関する本を多く読んでいます。
孫正義氏の「300年の野望」は、常に未来志向を持つべきだというマインドを思い返させてくれる1冊ですね。
「100年後、300年後の未来を見据える」これはコクーが掲げる2030年ビジョンの延長線上にある考え方です。
孫正義氏の「300年の野望」などの自伝を通じて、長期的な視野を持つことの重要性を再認識し、イノベーションを起こすための考え方を深めています。
2030年ビジョンと地方創生への取り組み
地元企業とのリレーションシップを強化
地方創生もコクーの重要なテーマの一つです。
東京のベンチャー企業が地方でDXを進める際には、地元企業とのリレーションが重要です。そこで、地銀や自治体とのパートナーシップを通じて、地域に密着したDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を進めています。
地元のデジタル未経験の女性を正社員として雇用し、育成することで、地元企業のDXを支援する体制を整える。このような取り組みを通じて、地域経済の活性化にも貢献しています。
DX人財輩出企業 No.1を目指して
2030年を見据え、コクーは「DX人財輩出企業 No.1」となることを目指しています。
このビジョンの実現に向け、地方展開や多様な人々とのパートナーシップを積極的に進めています。
シニア、外国人、障がい者、LGBTQなど、多様なバックグラウンドを持つ人々にもテクノロジーの力を広げ、日本の生産性向上を実現し、誰もがイキイキ働ける社会をつくることを目指しています。
