
株式会社ユーリア
代表
水野将吾 さん
27歳までキックボクサーとして活動。
IT企業にてヘルスケア系の新規事業の立ち上げ業務に従事するが、起業を志し退職。
退職後に、H.I.S.の設立者である澤田秀雄が主宰する澤田経営道場にの経営者育成プログラムに参加。2021年4月、同道場の卒業と同時に、株式会社ユーリアを設立。
ヘルスケアサービスや各種サポートを通じて、人々の健康と文化の発展に寄与する株式会社ユーリアの代表取締役を務める水野 将吾さんに、お話を伺いました。
転職を通じて学んだのは「自分に合った企業で働くこと」の大切さ
大学卒業後、私は鉄鋼関連の商社に新卒で入社しました。その企業は、おおらかな社員が多く、のんびりとした雰囲気の職場だったのですが、個人的には「より挑戦できる環境で打ち込みたい」という想いがありました。
というのも、私は小中高と野球に打ち込み、受験も全てスポーツ推薦で進んできた、いわゆる体育会系の人間です。そんな私が、フラットで穏やかな職場に馴染めなかったということは想像に難くないかと思います。(もちろん穏やかで安定した会社というのを否定しているわけでは決してありません)
沸々とした想いを埋めるように、趣味のキックボクシングに没入していきました。このキックボクシングははじめ、体力づくりも兼ねてはじめたものだったのですが、いつしか私にとってかけがえのないライフワークのひとつになっていました。
私がキックボクシングに魅了された理由はいくつかあります。というのも、キックボクシングをはじめとした一部の格闘技では、「減量」が重要な役割を担っています。
例えば、自らの行動がどのように体重に影響を与えるのか、自らのアプローチの結果を具体的に実感することができるというのは、当時の私にとって、革新的な体験でした。

しかし、それほどまでに私を夢中にさせてくれたキックボクシングも、27歳で、辞めることになりました。
というのも、当時の私は、転職エージェントの紹介で、大手コンビニチェーンで、フランチャイズオーナーへの経営指導員を行っていました。
そこは、求人票にこそ、自身の裁量で勤務時間を自由に決めることができると書かれていたのですが、1日あたりの業務量があまりに多く、結果的にプライベートの時間を大幅に削ることになっていたからです。私はキックボクシングと、そこでのキャリアを天秤にかけて、後者を選び取ったのです。
というのも、そこでの業務は休みこそ少なくはありましたが、自身の成果・成長を目に見えて実感できる機会に満ちていたからです。
転職活動を通じて、私は「自分の価値観に合った企業で働くこと」の大切さを実感しました。例えば、私がはじめに就職した鉄鋼系商社は、いわゆるホワイト企業といわれる職場でした。人によっては、そのような企業が適しているということもあるかもしれませんが、私にはこのような環境は合わず、業務に真剣に向き合うことができませんでした。
一方、私が転職先としてセレクトした大手コンビニチェーンは、一般的には「働きすぎ」といわれても仕方ない職場でしたが、私には適していました。そのため、世間の評判に左右されず、自分に合った体質・性質の企業を見つけることが重要だと言えるでしょう。
他人に頭を下げさせない—起業に踏み切った理由
その後、自分が招いた結果の責任を、会社や上層部にとってもらうのではなく、自分でとりたいと感じたことから、起業に興味を持つようになりました。
中には、会社員の「自分で責任を取らなくてもいい」という点に旨みを感じる方もいらっしゃるのかもしれませんが、私の場合は、他の人が自分のために頭を下げたり、損失を被ることをよしとはできませんでした。
コンビニの技術革新により、『IT知識』の重要性を実感した
会社を起こすにあたって、まずしたのは『IT』に関する知見を深めることでした。当時はまだ、iPhone5が出るか出ないかの時期で、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXを進めている企業はあまり多くはありませんでした。
しかし、自身の勤務するコンビニチェーンが、いち早く『POS』をはじめとしたIT技術を取り入れているのを目の当たりにした私は、今後はどの分野・業界においても、ITが重要なものとなる、ITから逃れることはできないと感じ、ITにまつわる勉強をしました。
その後、知識を実践の場で活用するという意味も兼ねて、20年以上に渡り、女性の健康管理に関するITサービスを提供している企業の、新規事業立ち上げに参画しました。
そこでの業務、あまり順風満帆はいかなかった、というのが正直なところです。しかしながら、この経験により、兼ねてより抱いていた栄養への興味・関心をヘルスケアの分野で活用することはできないかというアイデアを閃くことができました。

私は、このアイディアをもとに、ヘルスケアにまつわる事業を全般的に担う企業として、株式会社ユーリアを起業しました。
起業に際しては、株式会社エイチ・アイ・エスの創業者・澤田秀雄氏が設立・運用する澤田経営道場に入門しました。というのもかねてより私は、周囲からの圧力に負けず、事業を推し進める澤田氏の姿勢に憧れを持っていたからです。
(※)また、私が澤田経営道場への入門を決意した理由は他にもあります。澤田経営道場の講師陣の中に、ヘルスケア事業で、成功を収めた守屋実氏がいらっしゃったことも、私の入門を後押ししました。
澤田経営道場のカリキュラムは、座学と実践の二つに分けることができます。座学では、先ほど名前をあげた守屋実氏をはじめとした、名だたる経営者から、経営にまつわるノウハウを学べます。実践では、提携している会社に赴き、その企業の置かれている状況をもとに、経営プランを立案及び実行します。その後、結果を振り返り、フィードバックを受けることで、経営に関する実践的な知識を身につける他、効果的な経営とはどのようなものなのかということを、学ぶことができるのです。
澤田経営道場での経験は、私に他にはない学びを提供してくれました。

澤田経営道場を卒業後、私は本格的に株式会社ユーリアの事業に着手しました。はじめの一年間は、広島県が実施していたDXプロジェクトと、アクセラを通じて培ったお金と、自己資金を使って、サービスの開発と提供を並行して行い、VCを獲得することに注力しました。努力の甲斐もあって、弊社は複数のVCを獲得することに成功しました——このVCが、弊社のステージアップを推し進めたと言っても過言ではないでしょう。
というのも、弊社に投資してくださっている方の多くは、自らも企業を経営している経営者なので、自分が今直面している困り事や、自分が経営を行う上で大切にしている信念についても、深い理解を示してくださるのです。これらの方々の理解がなければ、成功に向けて邁進している今の自分はいなかったかもしれません。
これらの経験を振り返って、私が言えるのは、起業して本当に良かったということです。大変なことも多いですが、自分の考えに賛同してくれる人がいて、協力してくれる人がいることの嬉しさは、何物にも変え難いと感じます。お金では得られない喜びもありますし、何より人間として大きく成長できたように思います。
起業を志す若者へのメッセージ : 大切なのは「諦めない」こと。
この記事をご覧になっている方の中にも、企業を検討していらっしゃる方が多くいらっしゃるかと思います。経営においては、全力で頑張っても結果が出ないということが、決して珍しくありません。正直なところ、やめたくなる瞬間もたくさんあるでしょう。しかし、そんな時でも、諦めずに取り組み続けられる自信があるという人は、ぜひ起業に挑戦してみてほしいと、私は思います。