今回は、長年にわたりIT業界の第一線で活躍し、現在は若者向けのIT教育と就労支援を行う谷藤代表にインタビューを行いました。日本のIT業界の黎明期から現代までを見つめてきた谷藤代表の視点から、業界の現状、若者が抱える課題、そして彼らを救うための具体的な方法について、熱く語っていただきました。

株式会社C60(シーロクマル)
代表取締役
谷藤 賢一さん
谷藤代表は1987年からシステム開発に携わり、人材ビジネスで1000人以上を担当してきました。1990年代中盤と2003年~2009年の人材ビジネス経験では、フリーターからIT人材を育成する独自の試みがテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で紹介されるなど、その手腕は折り紙つき。行政やNPOと連携した「IT体験インターンシップ」の実施、会社員時代からの講演・セミナー活動など幅広く活動。世界23ヶ国で利用される天体シミュレーションソフト「SUPER STAR」の開発者でもあり、元SE、元人材営業というユニークな経歴に加え、米国CCE,Inc. GCDF-Japanキャリアカウンセラー、J・ABA日本行動分析学会会員、NPO法人キーパーソン21正会員でもあります。著書は「いきなりはじめるPHP」。これらの経験から学校で教えない生きる力を小中高生に教える「子ども社会塾」塾長として子どもたちの先生でもある。
日本のIT業界の現状と課題
かつての栄光と現状のギャップ
数ヶ月の研修を経て就職するという現在のIT業界の常識は、90年代以降に形成されたもので、元々は数日のOJTで十分だった時代もありました。かつて世界トップレベルだった日本の技術力は、現在では世界34位まで落ち込んでおり、この現状と現在のプログラミング教育や方法論がシンクロしています。
21世紀に入り、日本の技術はどうなってしまうのかと危惧していました。昔ながらのやり方で最新のプログラミング技術を教える場所が必要だと考え、今に至ります。
現状、3ヶ月間の本格的な実務研修を受けるには約50万円の費用がかかると言われていますが、C60のプロジェクトでは、実践型の研修を無料で提供し、ほぼ確実にIT企業への就職に繋げています。
大手人材会社から若者支援へ
私は以前、大手人材会社で営業と採用人事の仕事をしていました。優秀な若者がどこにいるのかというテーマに取り組む中で、若者就労支援の現場で多くの若者が日の目を見ずに埋もれている現状を発見したんです。
救いの手を伸ばしたくて、人事の仕事をやらせてくれと会社に直訴しました。人事の仕事を自分からやりたいという人間は珍しいので、すぐに認められましたね。
3年間、人事としてさまざまな活動を行い、テレビ取材を受けるほどでしたが、その活動は若者就労支援のごく一部に過ぎなかったと感じています。その前はSE(システムエンジニア)として、バリバリのプログラマーとしてシステム開発に携わっていたのですが、日本のIT業界が世界の頂点だった頃の現場を知っているからこそ、今の現状に危機感を抱いています。
IT業界で就職したい若者から『どうしたらいいのか』と相談を受けた時に「こうすればいい」と的確にアドバイスできるのは、過去の経験があるからこそですね。

人生を変えたのは「パソコンソフトでドーンと儲ける本」
人生に大きな影響を与えたのは、1984年に発売された『パソコンソフトでドーンと儲ける本』でした。当時私は高校生だったのですが、この本でベンチャーという生き方があることを知り、衝撃を受けました。
学校に進学して良い会社に就職し、会社の言う通りに生きるのが幸せな人生だと考えられていた時代に、この本は希望の光でした。
自分で会社を作り、好きなプログラミングを仕事にする。誰にも縛られない。それはそれは興奮しました。
独立への決意
運命的なベンチャー企業との出会い
大学1年生の時、学生課の掲示板で、非常に怪しい求人を見つけました。
時給が破格で、住所はマンションの一室。友人たちと「ヤクザ事務所に違いない」と笑っていたのですが、その求人が自分が探し求めていたコンピューターのベンチャー企業の求人ではないかと気づき、恐る恐る電話をかけたんです。
友人たちに止められながらも、マンションの一室を訪ねると、そこはまさに自分が夢見ていた光景でした。
後日教えてもらったのですが、その求人に応募してきたのは私だけだったそうです。
ネット時代における情報の価値
インターネットがない時代、情報は今より圧倒的に少なかったものの、濃い情報にたどり着けば必要な情報を手に入れることができました。
情報の質と量のバランスについては、現代と比べると異なりますね。
情報の価値といったところでいうと、良いコミュニティや良い人との出会いが起業を志す上で重要だと考えています。
大学時代にIT技術の実務に就けたことが、大きな転機になりました。
学校の授業が終わった後、バイクで会社に行き、夜中までシステム開発を行い、起業した先輩たちから話を聞く機会にも恵まれました。
これは、普通の大学生では絶対に得られない貴重な経験だったと言います。
19歳で独立を決めた理由とは
19歳の時に、転職を繰り返し、最終的には独立するという将来のビジョンを描いていました。ベンチャー企業から大企業、外資系企業まで、普通の人生では経験できないような様々な世界を見てきた上で、1つ、確信していることがあります。
今の世の中の状況とのギャップが大きく「こうすればいいのに」と思うことが、世の中ではなかなか実現されないということです。
そういった考えがあったため、学生時代から大企業への就職は考えておらず、いつか自分で会社を起こし独立するという目標を持っていました。

エンジニアとして転職・就職するために必要なことは?
エンジニアとして転職や就職を成功させるためには、技術力だけでなく、コミュニケーション能力と主体性が重要だと思います。
これは、前職で採用人事の仕事をする中で感じたことです。
多くのIT企業では、面接で技術力だけでなく、コミュニケーション能力や主体性を重視する傾向があります。
特に接客業、中でも居酒屋やパチンコ店で働いている若者は、顧客とのコミュニケーションを通して鍛えられているため、IT業界で求められるコミュニケーション能力を既に備えている場合が多いと言われています。
IT業界は理系出身者を採用する傾向がありますが、コミュニケーション能力に問題があったり、スキルとプライドのアンマッチに手を焼いている企業が多いんです。
接客業で揉まれた若者は、本人にとっても就活失敗後の人生に希望の光が見えるため、すごく努力するんです。

IT業界への架け橋に
若者支援プロジェクト「ラッシュアウトプロジェクト」
現在は「ラッシュアウトプロジェクト」という若年者就労支援プロジェクトに力を入れています。特にIT業界に憧れている若者を対象に、プログラミングスキルなどを教え、就職を支援しています。
条件は「IT業界に憧れている」これだけで十分です。
今何の仕事をしているかは関係ありません。家に帰ると風呂に入るよりも先にパソコンを触ってしまう、家電が壊れると分解したくなる、スマホで困っている人がいると教えてあげたくなる。そのような人はITの素養ありの可能性が高いです。
面接では、子供の頃の話を聞くことで、その人の本質を見抜くようにしています。
例えば、ガンプラやミニ四駆の改造について聞くことで、技術的なこだわりや探求心を見極めていますね。
プログラマーとネットワークエンジニア
IT業界では、インフラエンジニアの需要はクラウド化の進展により減少傾向にあると言われています。一方で、プログラマーは2030年代には数十万人不足すると言われており、依然として高い需要があります。
しかし、高額な費用に見合わなかったり、教材の質も低いプログラミングスクールが存在しているんです。こうしたスクールではスキルが身につかないので、業界のレベルが下がってしまう。やめてほしいと思いますが、なかなか伝わらないのがもどかしいですね。
短期間で効果を実感できる講座「PHPプログラミング入門講座」
この講座は15年続けている講座なんです。
1日でPHPプログラミングの基礎を、2日目にはデータベースの基礎を学ぶという内容で、夜間のプログラミングスクールの1〜2ヶ月分の内容に相当します。
転職希望者には受講後に面談を無料で実施し、具体的なラッシュアウトプロジェクトによる転職プランをお伝えしています。
その上で一歩を踏み出したいと決意した方に、IT業界転職を支援するラッシュアウトプロジェクト(無料)に乗っていただきます。
これまで全員転職に成功しています。
受講料は2日間で4万4千円とリーズナブルに設定してあります。
講座は対面で行われ、私に直接質問できるので、学習効率を高い状態でキープできる環境を整えています。
受講者は小学生から80代まで、プロのエンジニアからパソコン初心者まで、幅広い層に及びます。
諦めないで、必ず道はある
能力があるのに、たまたま就活で失敗してしまっただけで、決して君が悪いわけではない。私を信じて、活躍「させて」ほしい。地獄を見た人間は、そうでない人間よりもずっと活躍できる。そこで失敗しておいて良かったと言える人生を送れるんだということを伝えたいですね。