人で世界を変える!外国人採用のプロが語るリアルと未来

今回は、外国人採用コンサルティングを中心に事業を展開する株式会社BRAIST 合同会社の代表、桑田百花さんに、外国人採用の現状・課題についてお話を伺いました。企業と外国人人材の架け橋となり「人で世界を変える」という理念の実現を目指す桑田さんの熱い想いと、外国人採用のリアルを掘り下げてお届けします。

桑田百花さん

株式会社BRAIST
代表取締役
桑田百花さんプロフィール

神奈川県横浜市生まれ。法政大学キャリアデザイン学部卒業後、オーストラリア留学で多文化に触れた経験から、日本の外国人受け入れ体制に課題意識を持つ。

外国人専門の大手総合サービス会社にて事業統括本部や社長室で外国人人材や新規事業開発に従事。その中でモンゴル進出に関わり、同国の人材や国柄に心を動かされる。

これを機に両国への貢献を志し、モンゴル特化型人材紹介サービスを展開。当時のモンゴル国内でトップシェアを獲得。

現在では人材紹介事業に加え、デザイン事業やモンゴル美容商材販売事業など、多角的に事業を展開している。

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BRAIST 創業秘話

桑田百花さん

全員参加で創り上げた理念:「人で世界を変える」

私が新卒で入社したのは、外国人専門の家賃保証会社でした。その後、同社で様々な経験をし、起業を決意しました。

2018年11月に創業した株式会社BRAIST は、今年で7年目。

本当に曲がりくねった道のりでしたが、良い時もあれば悪い時もある、まさに紆余曲折という感じでしたね。

株式会社BRAIST の理念である「人で世界を変える」は、社員全員でアンケートなどを通して意見を出し合い、作り上げたものです。

求職者の方のため、というのはもちろんですが、それだけでなく、会社としてどういうスタンスで仕事をしていくのか、社内での考え方や価値観に紐づけて作った理念なんです。

社員全員で作り上げた理念だからこそ、社員一人ひとりの行動指針となり、強い組織力を生み出せているのだと思います。

社名に込められた想いと理念の具現化

株式会社BRAIST という社名は、“Break & Recreate An International Scenery of Tomorrow” の頭文字を組み合わせた造語です。この名前には、「人を通じて世界をより良く変えていく」という理念が込められています。

この理念を端的に表したのが 「人で世界を変える」 という言葉です。

当社は創業当初から日本とモンゴルの二国間で事業を展開しており、「世界」という言葉には 「国際的な視点」という意味だけでなく、地域や社会、さらには自社といった、より身近な世界も指しています。

私たちは「すべてを根本から変えるのではなく、今あるものをより良くし、発展させるという理念のもとに活動しています。そして、この理念を単なるスローガンにとどめず、具体的な行動指針として事業に落とし込んでいます。

外国人採用がもたらす変化

社内と地域への影響

当社は、人材紹介から採用コンサルティングへと事業を展開しながら、企業と外国人人材のマッチングに携わってきました。

企業への人材紹介やコンサルティングを通じて、多くの企業様から外国人採用による変化について伺うことがあります。

例えば、外国人を採用したことで社内の雰囲気が大きく変わり、特に若い世代にとって良い刺激となっているという声です。

異文化に触れることで、既存の価値観が揺さぶられ、新たな発想や行動が生まれているのではないでしょうか。

また、外国人がほとんどいなかった地域に人材を紹介した際、最初は受け入れに慎重な反応が見られることもあります。しかし、時間とともに外国人が地域に溶け込み、住民との間に助け合う関係が生まれていく様子をよく耳にします。

かつては「外人が来た」と言われていた場所が、次第に外国人を受け入れ、共に暮らす地域へと変わっていくのです。

こうした変化は小さなものかもしれません。しかし、それを積み重ねることが「世界を変える」ことにつながっている のではないかと感じています。

やりがいを感じる瞬間

桑田百花さん

感謝の言葉が最大の喜び

外国人採用コンサルティングの業務に携わる中で、最もやりがいを感じる瞬間は、企業様や当社を利用していただいた方から『ありがとう』という感謝の言葉をいただいた時です。

特に、企業様から「うちでは無理だと思っていたことができた」という感謝の言葉をいただいた時は、本当に嬉しくなります。

例えば、ある企業では、外国人採用によってモンゴルとのつながりができたことをきっかけに、モンゴルで新たな事業を展開する機会を得たという事例がありました。これは、単なる人材紹介にとどまらず、企業の海外展開という新たなビジネスチャンスを生み出した好例 です。

また、外国人の雇用は難しいと思っていた企業様でも、実際に外国人を採用することで外国人雇用に対する意識がポジティブに変わり、他の国籍の方の採用にもつながったというケースもあります。

一方で、外国人人材からは 「日本に来られるなんて思ってもいなかったが、来たことで人生が変わった」 という声をいただくこともありますね。

こうした前向きな変化が生まれた瞬間にこそ、私たちが大切にしている 「世界を変える」という価値観を実現できたという喜びを感じます。

人間力向上を目指す研修と課題

桑田百花さん

外国人社員のキャリア形成

株式会社BRAISTでは、外国人社員が日本でキャリアを築きやすくするための支援や制度を提供しています。特に、社内研修の一環として「MG研修(マネジメントゲーム研修)」を導入し、会社の数字を理解する力を養うことに力を入れています。

しかし、この研修の目的は単なる数字の理解にとどまりません。社員一人ひとりの「人間力」を高めることを重視し、より実践的なビジネススキルと自己成長を促しています。

当社の理念である「個性を生かして夢を叶える企業になる」ためには、社員の成長が不可欠です。そのため、数字の知識に加え、コミュニケーション力やリーダーシップといった人間力の向上にも重点を置いています。こうした取り組みを通じて、社員の成長を促し、組織全体のパフォーマンス向上につなげているんです。

とはいえ、キャリア形成支援の面では、まだ課題が多いと感じています。

現在、社員は約5名と少人数。5年後・10年後のキャリアを一緒に考え、構築していく段階にありますね。

全ての制度や支援が整っているわけではありませんが、一つひとつ課題を乗り越えながら、より良い会社づくりを目指していきたいと思っています。

全員モンゴル人というユニークな環境と柔軟な働き方

現在、株式会社BRAISTの社員は、私以外全員モンゴル出身という少し珍しい構成です。そのため、「日本の企業なのにモンゴル人だけ?」と驚かれることも多いのですが、私自身は特に違和感を感じることはありませんね。

私のモンゴル語は簡単な自己紹介や挨拶、買い物程度のレベルですが、社員たちは流暢な日本語を話してくれるので、日々の業務に支障はありません。ただ、そろそろ私もモンゴル語を本格的に学ぶべきかな、と感じています。

多国籍な環境と柔軟な働き方を活かしながら、今後も社員とともに成長し、より良い職場づくりを進めていきたいですね。

柔軟な働き方を提供してワークライフバランスを向上

当社では、基本的にテレワークを導入し、オンライン上のバーチャルオフィスツールを活用して業務を行っています。私は長野県に住んでいますが、社員には横浜や愛知に住んでいる者もおり、さらにはモンゴルから勤務する社員もいるんです。

オンラインでの仕事だからこそ、場所にとらわれない柔軟な働き方が実現できていると感じています。

リモートワークであっても円滑に業務運営ができるよう、当社では毎朝オンラインで朝礼を行い、社員同士顔を合わせるようにしています。朝礼は20〜30分程で、その後は業務に必要なときにオンラインで声を掛け合い、密なコミュニケーションを図っていますね。

外国人採用の現状と課題

桑田百花さん

日本社会の現状とは?

日本全体としても、インバウンドの増加に伴って多くの外国人が訪れるようになり、外国人に対する寛容さも徐々に高まっています。しかし、依然として外国人を「別物」として捉える傾向が残っていると感じます。例えば、外国人を「外人」と一括りにする場面が未だに少なくありません。

こうした認識の違いが、企業が外国人を受け入れる際の大きな課題となっています。

地域社会や企業においても、外国人に対するステレオタイプや偏見が存在しており、これが採用活動にとどまらず、職場環境や地域社会への統合の妨げとなる可能性があります。

異文化交流の壁を乗り越えるためには、企業側も積極的に対策を講じることが必要なのではないでしょうか。

【見えないルールを見える化】外国人にとって働きやすい環境は誰にとっても働きやすい

株式会社BRAISTでは、採用支援の一環として「見えないルールの見える化」に取り組んでいます。

長く働いていると、社内で自然にできているルールが当たり前になり、他の会社ではそれが当たり前ではないことに気づきにくくなりますよね。

例えば、長期休暇の申請期限や休暇日数に関する基準は、意外と明確化されていないことが多いんです。

外国籍の方がそのルールに直面した際には「やっぱり外国人だからダメだ」と思われることも少なくありません。

しかし、問題の根本的な原因は、見えないルールがあること。

見えないルールを明確にすることで、外国人社員だけでなく、日本人社員にとっても働きやすい環境が提供できるようになるよう支援しています。

違いを力に変え、誰もが活躍できる社会を目指して

桑田百花さん

私たちがコンサルティングを通じて目指しているのは、外国人にとって働きやすい会社を作ることではなく、誰もが働きやすい会社を実現すること。

例えばシングルマザーの方や、小さいお子さんを育てている方、障がいのある方など、あらゆる人が働きやすい環境を整えることを目指しています。

私たちは「外国人」という切り口で企業に関わっていますが、外国人採用を通して作るルールは、結局のところ、日本人の方にとっても役立つものなんですよね。

現在直面している課題を一つひとつ解決し、より良い会社づくりを進めることで、「人で世界を変える」という理念を実現していければと思っています。

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