奨学金問題と企業の成長支援:株式会社アクティブアンドカンパニーの取り組みと未来を切り開く戦略

「躍動感あふれる未来を創造する」という理念のもと、組織・人事のプロフェッショナルとして、戦略立案から業務効率化までをワンストップで提供する株式会社アクティブカンパニーの代表、大野順也氏にお話を伺いました。

大野順也さん

株式会社アクティブアンドカンパニー
代表
大野順也さん

大学卒業後、株式会社パソナ(現パソナグループ)で営業を経験後、営業推進、営業企画部門を歴任し、同社関連会社の立ち上げなども手がける。

後に、トーマツコンサルティング株式会社(現デロイト・トーマツコンサルティング株式会社)にて、組織・人事戦略コンサルティングに従事。2006年、株式会社アクティブ アンド カンパニー創立・設立。

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奨学金が若者に与える重圧とキャリア形成への影響 : 株式会社アクティブアンドカンパニーの事業内容

人材領域の最前線:株式会社アクティブアンドカンパニーの多角的サービス

株式会社アクティブアンドカンパニーでは、主事である、人材領域でのコンサルティング事業に加えて、給与計算のアウトソーシングや、HRテックを活用したタレントマネジメントシステムの開発及び提供などのサービスを、広く提供しています。

奨学金返済が若者に与える重圧:未来を切り拓くアクティブアンドカンパニーの取り組み

近年では、奨学金の返済を代行する「奨学金バンク」の運営を通じて、若者のキャリア形成を支援しています。

弊社がそのような事業を行う理由として、弊社のミッションの存在が挙げられます。弊社では「可能性を開拓する」というミッションを掲げ、これをもとに様々な事業を行っています。

大野順也さん

現代の若者が社会に希望を抱けなくなった影には「奨学金」

近年、社会に対して、何処か達観したような態度をとる若者が増えています。昔——例えば、私が若い頃などは、学生と社会人の間に明確な垣根が存在していたこともあり、社会に出ることに対して、夢や希望を語る人が少なくありませんでした。しかし、現代においては、そのような人がほとんど見受けられません。

社会に出る前から、奨学金という一種の借金を抱えていることが、この問題に深く関係しているのではないでしょうか。日本学生支援機構の「令和4年度学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学で55%、短期大学で61%、大学院博士課程で58%に達しています(※1)。

さらに、労働者福祉中央協議会が2023年に実施した「高等教育費や奨学金負担に関するアンケート」によれば、日本学生支援機構の貸与型奨学金利用者の借入総額は、平均344.9万円(中央値312.1万円)となっています(※2)。

つまり、今を生きる若者のふたりにひとりは、数百万円近い借金を背負った状態で社会に出ることになるのです。

奨学金返済が若者のライフプランへ与える影響は絶大

夫婦ともに奨学金を借りている場合、合わせて500万円以上の奨学金を抱えていることも珍しくありません。こうした状況では、家や車を購入する余裕がなく、まずは借金返済が優先される生活になってしまいます。奨学金の返済を抱えていることが原因で、結婚自体を相手の親に反対されるケースもあると聞きます。

この現状を踏まえると、奨学金が若者にとって大きな人生のハードルとなっていることは明白です。だからこそ、若者が未来に希望を持てる環境を、私たち大人が整える必要があります。奨学金バンクの取り組みが、その一助となることを願っています。

大野順也さん

知人から学んだ現代の奨学金問題

私がこれらの、奨学金の問題に気づいたのは、今から5年前のことです。私が学生だった頃、奨学金は本当に優秀な学生だけが受けられるもので、ほとんどが返済不要の給付型でした。そのため、私たちの世代においては「奨学金」と聞くと「返さなくていいお金」という認識が一般的でした。

私が45歳のとき、ある35歳の知り合いが「まだ奨学金を返済している」と話していました。私は驚き、「35歳にもなって、まだ奨学金を返しているのか?」と聞いたところ、「大野さん、皆40歳くらいまで返済しているんですよ」と言われました。それをきっかけに調べてみたところ、奨学金の返済問題が浮き彫りになり、その現実に大きなショックを受けました。

奨学金負担を解決し、評価制度を効果的に機能させるために

その時、「これでは若者が元気を出せるはずがない」と感じました。弊社では、評価制度や給与体系、研修プログラムを整えて、社員がやる気を持てる環境を作るサービスを提供してきましたが、彼らは私たちの見えないところで300万〜500万円もの借金を抱えているのです。評価や研修だけでは、そうした根本的な問題を解決することはできません。

だからこそ、まずは奨学金のような根本的な課題を解決し、その上で社員が評価され、給料が上がるといった仕組みをしっかり機能させることが重要です。この基盤が整えば、仕事の成果を高めるための研修や制度も、より効果的に発揮されるでしょう。私たちが現在取り組んでいる奨学金のサポートは、こうしたファンダメンタルな問題の解決と密接に結びついています。

奨学金問題の啓発と企業との連携が生む未来の支援体制

ただし、この事業を推進するには、さらに多くの企業や機関との提携が不可欠です。先述の通り、私の世代では「奨学金」といえば「返さなくていいお金」という認識が一般的であり、その経験則に基づいて考えている方が少なくありません。しかし、実情を詳しくご説明すると、多くの方が驚き、関心を示してくださいます。また、その現実を目の当たりにし、「解決策を見出さなければならない」という社会的責任を感じる方も少なくありません。そうした方々と協力しながら、私たちはこのサービスを展開しています。

企業成長の鍵は「経営者と労働者の意識のギャップを埋める」こと

企業成長のカギは労使の調和:評価制度とHRテックの新たな活用法

弊社の事業の背景には、私が過去に勤めていた人材サービス系の会社で目にした実情があります。当時、私は派遣スタッフと企業の間に立ち、効率的なビジネスの運用に向けたサポート業務を行っていました。その中で、経営者と労働者の間に、大きな意識の差が存在することに気づいたのです。

経営者が自社の利益や業務効率を優先する一方で、労働者は自分たちの権利や契約を重視して仕事を進めています。企業が成長するためには、経営者と労働者が互いにベクトルを合わせ、このギャップを埋めることが不可欠です。

かつては、評価制度の導入がこのギャップを埋める主な手段とされていました。現代でも評価制度の重要性は変わりませんが、近年では人事担当者の負担を軽減するためのツールが数多く登場しています。弊社が提供するHRテクノロジーやタレントマネジメントシステムも、そのひとつだと言えるでしょう。

組織の変化に伴う目標の曖昧化を防ぐ:経営者が果たすべき役割とは

労働者と経営者という立場の違う二者が、価値観を統一することは簡単なことではありません。そのために大切なこととして「目標や方向性を明確に示すこと」及び「それを貫くこと」が挙げられます。経営者が「良くなればいい」と漠然と思っているだけでは、会社が良くなることは決してありません。弊社は今年で創業から20年目を迎えます。その20年という月日の中で、大きく変わった部分もあれば、変わらない部分もあります。というのも、「躍動感あふれる未来を創造する」という理念・ミッションだけは、変わっていません。

目標や方向性が曖昧になる原因のひとつに「時間の経過」があります。経営者が明確な目標を掲げ、社員全員で共有していたとしても、これが徐々に曖昧になることがあります。

これは、会社が常に変化していることに起因しています。

重要なのは経営者が「語り部」としての意識を持つこと

新入社員や中堅社員の退職は、どのような企業でも、避けられない現象です。人の入れ替わりにより、組織全体の方向性が曖昧になってしまう企業は決して少なくありません。

そのため、会社の目標や方針を恒常的に維持し、浸透させるためには、経営者が「語り部」として継続的に発信を続けることが重要です。代表者や経営陣は、常にビジョンを語り、社員に目標や方向性を再確認させる役割を担う必要があります。これを仕組みやルールとして定着させ、常に社員の目に触れるようにすることが、全員が同じ目標に向かって進むための指針となるのです。

求人倍率が高まる今、企業が取るべき採用戦略とは

採用活動の変革:時代は“求職者が企業を選ぶ時代”へ

中には、企業の成長のため、採用活動に傾注しているという方もいらっしゃるかと思います。私は、企業が良い人材を採用するためには、従来の採用方法に変革が必要だと感じています。現代の採用市場では、求職者が複数の企業から選ぶ立場になっており、企業側が応募者に一方的に選ばれるのではなく、応募者が自分に最も合う企業を選ぶ状況に変わっています。それにもかかわらず、多くの企業は依然として従来の選考方法を使い続けています。これでは効果的な採用は難しいです。

私が考える重要なポイントは、求職者の人生に一歩踏み込んで、彼らのキャリア志向や将来の目標、前職での経験を深く理解し、面接時にその人に合った職場環境を提案することです。面接を通じて求職者と真摯に向き合い、ただ単にスキルや経験だけでなく、今後どうキャリアを積んでいきたいのかを一緒に考えることが重要です。

重要なのは、マーケットの実情を理解し、採用の初動を変えること

現在の採用市場は以前とは大きく異なります。昔は厳正な選考のもと、大量採用が行われていましたが、現在は労働人口の減少によって求人倍率が高くなっています。企業は今までのような採用方法を続けていても、うまくいかないと感じています。

大切なのは、求職者の人生観や価値観にまで踏み込んで、真剣に向き合うことです。もしその考え方が企業の方向性と合わなければ、採用しなくても構わないと思いますが、逆に、求職者が面接を通じて自分の考えを見直すこともあります。良い人材を採用したいのであれば、そのように深く踏み込んだ選考を行うことが重要だと考えています。

採用の初動を変え、マーケットの実態をリアルに理解した上で進めていくことが、良い人材を採用するためには欠かせないと考えています。

未経験分野への転職における“リスク”と求められる覚悟

新しい環境で信頼を築くために必要なのは「つま先立ち」の覚悟

当記事をご覧になっている方の中にも、転職を通じてそれまでとは全く違う環境に踏み出そうとしている方もいらっしゃるかと思います。この時に重要なのは、中途人材は即戦力として求められているという自覚を持つことです。しかし、この意識を持っている人は少ないと感じます。転職にはリスクが伴います。特に未経験の分野に転職する場合、3年や5年といった時間を同じ会社で過ごしている人と比べて、転職者は新しい環境でゼロから信頼を築く必要があります。

同じ能力を持っていても、転職先では自分のことを知らない人たちばかりなので、最初から協力者を探すところからスタートし、業務を進めるのが遅れがちです。そのため、転職後は「つま先立ち」で頑張る覚悟が必要です。新しい環境でチャレンジする気持ちは大切ですが、今まで通りのやり方で今まで以上の成果を出すことはできません。そのため、転職する際は覚悟を持って、努力をすることと意識をしっかりと切り替えることが重要です。

大野順也さん

マネジメントからエンゲージメントへ:株式会社アクティブアンドカンパニーの企業の未来を支えるサポート

エンゲージメント重視の時代における株式会社アクティブカンパニーの取り組み

現在、人事は大きな転換期を迎えており、従来の「マネジメント」から「エンゲージメント」重視へと変化しています。このような状況下において企業がより良い結果を残すには、新しいソリューションを模索して行く必要があり、弊社ではそのためのサポートを数多く提供しています。具体例としては、奨学金バンクのように、企業が新たな問題や課題に取り組むためのきっかけとなるサービスや、企業のブランディング・成長に繋がるサポートを提供しています。

また、現在、奨学金の返済でお悩みの方においても、役立つサポートをいくつもご用意しておりますので、お悩みの方においてはぜひ、お気軽にご相談ください。

※1 https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2024/03/25/data22_all.pdf

※2 https://www.rofuku.net/document/2022_scholarship_survey_full.pdf

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