人材紹介事業の新規立ち上げを、豊富な知識とノウハウによってサポートする、株式会社AGENT SUCCESSの代表取締役、野村真央社長にお話をお伺いしました。
株式会社AGENT SUCCESS
代表取締役社長
野村真央さん
慶應義塾大学卒業後、スタートアップ及び外資系人材会社にて人材紹介部門の立ち上げを経験。人材業界歴は9年目となり、学生〜ベンチャー企業の経営層まで幅広く支援してきた。株式会社AGENT SUCCESSを創業し、各社の課題に合わせた人材紹介事業部の立ち上げ支援サービスをハンズオンで展開している。
私はこれまで、人材紹介サービスや、コンサルティングを通じて、多くの方々のキャリア形成を支援してまいりました。
近年、転職者数は年々増加傾向で、転職は以前よりも身近な存在となりつつあります。
年度 | 転職者数(前年比増加) | 転職希望者数(前年比増加) |
2023年 | 328万人(+25万人) | 1007万人(+39万人) |
2024年2月9日公表 総務省統計局 労働力調査より(※1)
また、株式会社学情が、20代就職・転職希望者を対象に2023年に実施した調査において「社会人になる前から、転職を視野に入れていた」と回答した数は、6割を上回りました。このことからは、「一つの会社で長く働いてスキルアップしていくべき」という従来の価値観が覆りつつあることが伺えます。(※2)
また、昨今においては、大企業に入社した後、スタートアップやベンチャー企業へ転職するケースが増えてきています。
この背景には、スタートアップ企業の労働環境がここ数年で大幅に改善されたことが影響していると考えられます。
日本経済新聞社が2023年に実施した「NEXTユニコーン調査」によると、スタートアップ企業78社に勤務する社員の平均年収は700万円を超えており(※3)、このような充実した労働条件に魅力を感じて、大手企業からスタートアップへ転職する人は少なくないものと思われます。
スタートアップ転職の落とし穴!成功のカギは「チューニング」
ベンチャー企業で成功を収めるためには、企業特有の文化や働き方に、比較的早い段階で適応すること、言い換えるなら「チューニングする」ことが求められます。
ベンチャー企業では、大手企業とは異なり、申請や承認プロセスが簡略化されており、一人一人が裁量を持つことで自発的に判断を行い、業務を遂行できる人材を重視しています。
このようなスタートアップならではの環境に、自らを順応させられるかどうかが、転職後の明暗を分けると言っても過言ではないでしょう。そのため、「チューニングできるかどうか、自信がない」と言う方においては、スタートアップへの転職自体を見送った方がいいかもしれません。
また、大手企業からベンチャー企業に転職した人の中には、案件の規模や扱う金額が小さくなったことから、業務に対する貢献度が低くなったと感じる方もいたりします。
企業選びの際には、単に「面白そう」や「華やか」といった印象だけでなく、その企業の事業内容が自分のやりたいことと一致しているか、そして企業のテーマに共感できるかを重視しましょう。
例えば、これまでの経験や知識を活かして、前職で在籍した業界は同じにして、その業界全体のDX化や革新に取り組む企業への転職を行えば、自分が今までの経験を活かしながら貢献していることが明確に感じられます。
ハイクラスを目指す転職は難しい?成功の条件は「専門性」
また、当記事をご覧になっている方の中にも、年収をアップさせハイクラスでの転職を検討している方も少なくないと思います。
そういった方に私がお伝えしているのは、「特定の分野やスキルに特化していない限り、ハイクラスでの転職を成功させることは難しい」ということです。
例えば、それまで全く接点のなかった業界や、関連性の薄い職種への転職が成功することは可能ですが、年収を高い水準で維持したりアップさせることを目的にした転職の実現は、非常に稀であると言えるでしょう。異なる文化のある企業に入社して成功を収めるには、企業や業界ならではの文化・特質に順応すること、「チューニングをすること」が欠かせないからです。
また、ハイクラスでの転職を有利に進めるには、転職エージェントを活用するのもひとつの手だと言えます。
転職エージェントの経験値や相性によっては、提案される求人の質やサポートの丁寧さ、キャリアに関するアドバイスや企業との交渉の精度に大きく相違がでます。
特定の業界や職種に精通している転職エージェントを利用したの方が、転職活動を有利に進められます。
株式会社AGENT SUCCESSではスキルや経験、人脈を構築するための「場」を提供
この他にも、人材紹介事業を展開する企業向けのコンサルティングサービスなどを通じて、人材業界全体への貢献を果たしています。というのも、人材業界全体が抱える課題を解決したいというのは、私が「株式会社AGENT SUCCESS」を立ち上げるに至った動機に他ならないからです。
人材業界は、人材の入れ替わりが著しい業界です。
KPIや社内の厳格なルールが増え、’働く’を提供するはずの張本人が疲弊してしまい、多くの先輩や同僚、後輩が業界を去っていきました。また、ビジネスモデルがシンプルであるが故に、専門的なノウハウが一部の人に集中しやすくなり、さらには業界自体がレガシーな体質であることも相まって、業界全体のスキルが底上げされるような革新は未だ起こっていません。
私は、人材業界で働く中で、こうした課題に的確に対応できる企業が少ない現状に、ジレンマを感じていました。そこで、私がこれまでの9年間で培ってきた経験を、コンサルティング事業を通じてより多くの人に提供するために、株式会社AGENT SUCCESSを立ち上げました。
これからも、人材業界全体がより持続的に成長するための支援を続けていこうと思います。
雑誌『経済界』2024年10月号・第2特集「グレート・キャリア・メーカーズ」より
photo by 西畑孝則
※1https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/index.html
※2https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001285.000013485.html
※3https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC28A4K0Y3A121C2000000