【エッセンス株式会社社長】人生100年時代のキャリア形成における価値観と自律心とは

プロフェッショナル人材と企業を繋げる「プロパートナーズ」を運営している、エッセンス株式会社を創業した米田瑛紀様にオンラインインタビューを行いました。

米田様はその他に、他社留学サービスも提供しており企業の人材活用における様々なサービスを展開しています。

プロ人材のキャリアを中心に、米田様のご経験を元にお話をお伺いしました。

エッセンス株式会社
代表取締役
⽶⽥ 瑛紀

1996年に大学を卒業し、広島の人材ビジネス企業に入社。売上を5倍に伸ばし、取締役ゼネラルマネージャーに24歳で就任。2000年には人材アウトソーシング専門会社の創業メンバーとして参画し、9年で20億円の売上を達成する営業組織を築く。2009年にエッセンス株式会社を設立し、プロフェッショナル人材を活用したビジネスモデル「プロパートナーズ」を考案。企業の経営課題解決に貢献すると同時に、ベンチャー留学研修サービス「ナナサン」を開始し、人材開発分野にも進出。経済産業省の研究会にも参加している。

プロ人材の定義とは【圧倒的な成果を出すこと】

プロ人材の定義とは、圧倒的に当事者意識があり、成果と価値にどこまでこだわるか。絶え間ない努力を楽しく行うことができるかといった志向性です。

裏返せば「それなりの大学を出てそれなりの会社に入って、そつなく可もなく不可もなくやって、定年まで大過なく過ごそう」という方はあまりプロ思考に向いていないかもしれません。

結局「創出した価値」だと思います。仕事では「こんなに時間かけたのに」は、そもそも通用しません。

また、コミュニケーションが取れて、きちんと支援先が求めてるものに対して当事者意識を持ってきちんと推進できるかどうかが大事ですね。

プロ人材は、自分がどれだけプロとして芯を持っているかが重要です。

投下した時間は関係なくクライアントが求める価値提供が必要

まず、「自信がある」と思えるだけの実績をどれだけ詰んでいるのかが、プロ人材の一つの尺度です。

また、以下の3つの要件を満たしているかが、CXOレベルと呼ばれる方の定義です。

  1. 「何が課題なのか」といったように、課題を掘り下げる見識があるか
  2. 課題を見つけて、解決プランやマイルストーンが描けるか
  3. 課題解決の設計図を作ったうえで、それを実行できるか

例えば、言われたことだけ実行してメディアを構築するなどは、CXOレベルではなく、マーケティング担当者のレベルだと思います。

また、多くのCXOレベルの方が「楽しいか」の尺度で、仕事を選んでいます。

プロとしてしっかり成果を出してお客さんから喜ばれている殆どの方は、「時間というよりもいかに成果を出すのか」を最優先で考えています。

1時間やって成果を出す方と、10時間やってもあまり成果が出ない方もいます。

CXOと呼ばれるレベルの方は、時間ではなく「価値」に重きを置いています。

お客さんとの打ち合わせなどにおいて価値を出すために、リサーチを重ねたり検証をしたりすることは、自分自身のタイムマネジメントの中に組み込まれています。

当然、CXOという常勤ではない働き方を選んでいる方は、自分のプライベートも自由になる状況を求めている方が多い傾向です。

そのため、「仕事でしっかり成果を出す」「やりたくないお客さんは手伝わない」「やりたい会社さんを支援して成果を出す」ということを大切にしています。

そして、空いた時間で自分の好きなサウナやゴルフ、ジムに行くなどの時間管理ができています。

最優先の事柄として「ビジネスにおいては価値を出す」だと思います。

企業の課長クラスだと社会的に有利な実績といえる

人事論的な話で、言われたことをこなすだけの社員は「オペレーション業務の専門人材」といいます。

「きっちりと業務をこなす人」でしたら同業他社からは必要とされやすいですし、組織には必要です。

ただ、企業の出世や社会的な認知という観点だけでいえば、「課長クラス」であることが大切だと思います。

おそらく、企業の課長クラスは35歳以上の方が多く、前職の中でトップ3に入ったり、ビッグプロジェクトを自分がリーダーとして務めたり、といった類の事例があると、同業他社からヘッドハントされる対象になりやすいと思います。

しかし、もちろん組織の中でオペレーションを担う方は、間違いなく重要なポジションであり、多種多様な職種の中でキャリアアップを選ばれる方も尊重されるべきです。

CXO人材は週1日で月25万円からの複業ができる

CXOは役職で見ると、取締役、マーケティング本部長、取締役人事部長らが挙げられます。

企業で見ると、大手、ベンチャー、中小企業のいずれかによってCXOと呼ばれる方の年収水準が異なります。

そのため、まずどこを仮説としてCXOレベルの年収ポジションかというところから紐解いていきます。

弊社のプロパートナーズのメイン顧客が成長ベンチャーさんと中小企業さんが多いので、仮に30億前後ぐらいの会社だと見立てた時に、年商30億クラスの会社のCXOと呼ばれる役員クラスのレイヤーの方だと年収がだいたい1000万前後、つまり800〜1200万円ぐらいというのが世の中の水準だとかんがえます。

給与水準としては、週1回の支援が必要な場合は、最大で5社まで持てます。

複数の企業と契約をした場合は、月額100万円以上稼ぐことも可能です。

また、もう一つの発想として、今弊社に登録しているプロ人材と呼ばれるCXOレベルの方々が今3000人弱います。

フリーランスの方も多く、現職で事業会社のマーケティング本部長などをしている方が隙間時間で、1社か2社複業としてマーケティングの支援をしたいという方もいます。

その場合、常勤の会社で年収800万円くらいで、複業で月に25万円〜50万円ほど得る方がほとんどです。

プロセスも含めてクライアントに納得してもらうのがプロの仕事

CFOと呼ばれる財務管理本部長だと40歳前後、マーケティング領域だと30代半ば〜40代前半が旬です。

職種によって若干の年収のレンジはありますが、即戦力でどの会社からも欲しがられてヘッドハントの声がかかるという領域が、一番ホットな領域だと思います。

求められる経歴としては、「圧倒的な成果を出していること」です。

弊社はCXOレベルのプロ人材を提供するときに、企業側の課題をヒアリングします。

例えば「今のマーケティング何が課題ですか」という問いかけに対して、「集客が月にまだ10件しかない」とします。

企業側は月に10件の集客を「半年後には100件にしたい」という何かしらの目標設定を決める必要があります。

プロ人材側は、対象企業の商品やサービス、企業イメージなどいろいろ勘案して引き受けて実現可能なレベルで企業側と目標値を握ります。

プロ人材の具体的なプロジェクト例

「半年後に少なくとも問い合わせは100件にしましょう」「売上は想定として1億プラスぐらいで握りましょうか」といった決めた目標に対して、納期までに様々なマーケティングの施策の検討、計画を実行して、目標達成が求められます。

プロジェクトが始まった際は、当然プロとして実力の発揮が必要です。

仮に目標が達成できない時に、プロ人材を使ったお客さんがプロセスも含めて納得するような「成果が出なかった理由」がわかると納得感があります。

一方で、目標達成ができなかった理由が、プロだけにあるわけではないケースがあります。

ただし、「ボトルネックの解消も含めた新たな解決策も含め、目標達成に向けてもう半年続けていきましょう」といったようにプロジェクトを継続するのも一つの成果です。

そもそも、マーケティングの幹部人材が社内にいないという場合は、当然様々な施策が動いて進むので、プロジェクトの継続自体も成果といえます。

圧倒的な成果が、依頼された仕事に対して100%、あるいは70%なのかというのは、基準を決めるのが難しいといえるでしょう。

弊社としては、プロ人材を活用したい企業の経営陣と我々エージェント、プロ人材の3者が話をしてあるべき姿や目標の合意をします。

合意した目標に対して、「どのように成果を出していくか」「どんなプロセスで進めていくか」、そこに信頼と安心、満足をしてもらえるかが重要だと考えています。

自社の経営課題に真剣に向き合うとプロ人材の需要が生まれる

まず、経営者が自社の経営状況をしっかりと把握していることが大切です。

どこが弱いのか、どこに課題があるのかを、本気で考えたうえで課題を新たに明確にしているかという点です。

そして、この課題が明確になった時にしっかり因数分解して、「本当に課題がどこにあるのか」を紐解く必要があります。

会社側としては、自社の課題を専門家の知恵を借りて解決していこうと思えて、初めてCXOプロ人材を使う発想に至ります。

経営者が、自社の課題を適切に認識し、かつ課題に対して本気で解決に取り組んでいこうと思わない限り、会社は潰れていくでしょう。

自社サービスをアップグレードするならプロ人材の活用がおすすめ

CFOと呼ばれる管理本部責任者の方など、会社を維持継続するための管理は管理担当者として課長クラスがいれば可能です。

一方で、上場やM&Aといった大きな挑戦をする際に、経験値のあるCFO人材をプロとして活用しようという事例が出てきます。

また、別の事例ですと、「現状のサービスでも悪くはないが、さらに一層競合に勝つためのサービスを開発したい」という時に、「圧倒的な商品開発サービス開発の実績を持ったプロを使いたい」というケースもあります。

「現状維持からのアップデート」というテーマにおいて、プロを使うのが最適です。

歴史のある企業ほど他社留学を積極的に取り入れて組織を活性化すべき

経産省の女性の若手官僚がメルカリに留学したという例があります。彼女はとても優秀ですが、経産省は縦組織のため硬い印象です。

事実として、経産省は官僚のため、10年間組織構造は変わっていません。一方で、メルカリはアクティブな会社で、経営陣も優秀で会社の規模も倍々に成長しています。

彼女は他社留学を通じて、成長ベンチャーはどのようにして成長しているのかについて、経営に近いところに留学し、内部の見えないものを肌で感じてきました。

得た知識や知見を、経産省に持ち帰り、メルカリのようなビッグベンチャーを生み出すための支援施策を考えようというプロジェクトで留学しました。

外側から見る情報だけでは全くわからなかったことが、メルカリの社内に入って鮮明に分かりました。

メルカリの、ミーティングのあり方や意思決定のスピード、そしてクオリティなどを全部持ち帰り、彼女は今経産省の人事開発ポジションとして影響を与えています。

他社留学に選ばれる人は組織の幹部候補として期待されている

JAXAさんやニフコさんも、弊社の留学制度を使ってくれています。

自動車産業で例えると、業界の大きな変化があった時に新しい技術を知らないと、昔儲かっていた業界が見切りをつけられるかもしれません。

昔から成果を出している方の中には、頑固だったり昔の成果に溺れたりすることもあります。

「ステレオタイプな組織文化をどのようにして変えるか」という対策として、今いる場所と異なる空間で学ぶことが大切です。

座学ばかりのインプット研修ではなく、社外の資本関係のない業界で学びを得る重要性が、徐々に社会に浸透してきました。

そして「自分の力がどれだけ通用するか試してくるべきだ」という経緯から、弊社の留学サービスが今発展していると思います。

私は、他社留学について説明する度に、昔は遣唐使や遣隋使という制度を立て、国を代表して中国の文化を学ぶために、日本の日の丸を背負って行っていたという話をしています。

当時、留学をしたかった人は1000人以上いました。その中で、選ばれし人が得た特権として、留学生は国を背負って海外の文化を学んできたと思います。

人選は大事ですし、選ばれた方に発破をかけることも大切です。

株式会社ニフコ×MaaS系ベンチャー企業の導入事例

経済産業省 × 株式会社メルペイの導入事例

自律したキャリアを歩む方がワクワクした人生が送れる

⽶⽥ 瑛紀様

有名な言葉で「キャリア自律」というものがあります。

「自律しているかどうか」がキャリアアップにおいて一つの分岐点です。

自律していると、自分のやりたい仕事や、やれる仕事で価値を出して生活ができます。

会社にしがみついて給料を「いただいている」のではなく、自分の価値を発揮して、企業の売上に貢献し、売上の一部を「俺がもらって当然だ」ぐらいのキャリアとして自律しているという状況です。

自律しているからこそワクワクできますし、より成長しようと思えます。

そして、成果や価値を出して喜んでもらえて、色々なところから「ちょっとうちも手伝ってくれないか?」といわれる状況が理想です。

会社に依存している状態だと、自分の人生やキャリアや年収などが、全部会社に委ねられてしまいます。

私が考えるキャリアの軸は、「自律心をどれだけ持つか」です。

人生のハンドルを自分で握るためにも、キャリア自律を意識してみてください。

参考:キャリア自律とは?定義や必要性、企業が支援するメリットを解説

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