自分の可能性を最大化する姿勢と自分を知ろうとする姿勢が、キャリア形成の第一歩

仕事で得たスキルや経験を通して、自己実現をしていくキャリア形成。

終身雇用や年功序列の崩壊、AIの発達や経済低迷など先行き不透明なこのご時世において、人生100年時代を主体的に生き抜くためにキャリア形成は重要視されています。

しかし、キャリア形成のための具体的なアクションやポイントがわからない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、ベンチャー企業から防衛省まであらゆる組織を対象に人事コンサルティングを行ってきた人事のプロフェッショナル・曽和利光さんにお話を伺いました。

株式会社人材研究所
代表取締役社長
曽和利光さん

京都大学教育学部で心理学を専攻。株式会社リクルートをはじめ、ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスなど多様な業種で人事責任者を務める。2011年、40歳で「人と、組織の可能性を信じる世界」をコンセプトにした株式会社人材研究所を設立し、代表取締役社長に就任。「組織×人事×心理学」という独特の手法をもって、採用者と求職者のコンサルティングを行う。

アンテナを張り、ピンと来たものをとにかくやってみる。

曽和利光さん

キャリア形成の語源は「足跡」といわれます。つまり、一生懸命「今」を生きてふと振り返った時に「あの時がんばっていたのは、こういう意味があったのか」と認識するようなものなのです。


足跡をつくるためには、おもしろい「縁」が生まれるようにどんどん動き回ってください。常にアンテナを張っておき、ピンと来たものがあれば迷わずチャレンジしてみるのです。職場の上司が勧めてくれた本があれば読んでみたり、お客様がおもしろいと言った個展があれば足を運んでみたり、暇があれば国内出張や海外旅行に行ってみたり…。波のまにまに生きていれば、ふと人生を振り返ってみた時に、縁と経験の足跡が樹形図のように構築されていると気づくでしょう。

「自分はこれをやってきた」という成功体験が、いずれ武器になる。

曽和利光さん

キャリア形成における経験やスキルとは、具体的にどういったものなのでしょうか?私の例でいうと、リクルートで最大300人の新卒採用プロジェクトの責任者として、30人のメンバーと採用目標の達成に向けてがんばり抜いた経験があります。これは1日で1,000人すなわち5時間で200人の面接をするわけですが、すべての関係者を統率し滞りなく遂行できたのはチームの結束力や助け合い、トラブルに対する柔軟な対応、そしてやり切る力があったからに他なりません。

あの成功体験は、30年経った今でも私を支えています。キャリア形成というとなにやら小難しく聞こえますが、「私はこれをやってきた」と自信を持って言える成功体験の積み重ねであり、武器だと考えています。

自分がバリュー(価値)を生み出せる仕事は何なのかを考えよう。

曽和利光さん

自分が仕事をする上で生み出しているバリュー(価値)について、考えたことはありますか?いくら時間をかけて作業をしたところで、誰の何の役にも立っていなければそれは仕事ではありません。その仕事によって、嬉しい・楽しい・役に立つと思ってくれる人がいて初めて仕事となり、バリューが生まれるのです。


例えば、私が約30年間携わってきた人事という仕事は、個人が持つ「可能性」の最大化をお手伝いすることです。ですから、ただ人材を配置するだけではダメで、5年後10年後の求職者の可能性と、5年後10年後の会社の沿革を鑑みて適材適所へ配置し、バリューを生み出し続けてきたからこそ今があります。逆に言えば、「自分がバリューを生み出せる仕事は何なのか」という視点が天職・適職のヒントになるでしょう。

若い世代(10~30代)は成長企業・成長業界へ身を置き、良い経験を。

曽和利光さん

バリューを生み出せる仕事といっても、多種多様な業種があり、わからないものですよね。迷ったら、とにかく成長企業・成長業界に身を置くことをお勧めします。成長企業は未開拓のフロンティアも多くポジションもたくさん空いているので、さまざまな経験をすることができます。人は経験によって成長します。失敗が当たり前の若いうちに「良い経験」をいかに多く積めるかが、キャリア形成のカギと言っても過言ではないでしょう。


そして、たとえ成長企業・成長業界が好きな業界ではなかったとしても、その仕事を好きになる努力をしてください。「自分が好きなことを仕事にしたいから無理」と思われるかもしれません。しかし、個人が持つ可能性を最大化する仕事をしている私としては、思い込みで可能性を狭めてほしくありません。実際、いろいろな業界や職種の高業績者の1つの特徴が「仕事を好きになる力」です。この力がある人はどんな場でも活躍することができると、私は信じています。

求職者が「敵を知り己を知る」サポートがしたい。

曽和利光さん

これまでは、企業が労働者を雇用して所得や将来を保障する代わりに、労働者は企業に従う社会でした。しかし、これからはキャリア形成をはじめ、キャリアデザインやキャリアプランを自己責任で行わざるを得ない時代です。私はこの約30年間、主に企業側に立って採用・育成をして組織を作っていくお手伝いをしてきました。そろそろ、もう少し個人の側に寄り添って、1人1人のキャリアデザインや自己実現に応じたサポートができればと思っています。


経営者や人事、面接官がどのようなことを考えているかについては、詳しいつもりです。それをキャリアや就職・転職に悩む人たちにお伝えしていけば、彼らが無駄に悩むことがなくなり、本当に自分が生きる場所を見つけることができるのではないでしょうか。求職者が「敵を知り己を知る」サポートをすることが、今後の私のキャリア形成における課題です。

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